ここ最近、日本の外交官の姿をインド、ベトナム、モンゴル、カザフスタンで良く見かける。これらの国々に共通するのはレアアースが眠っている或いは眠っている可能性があるということだ。中国がレアアース市場に対し秩序ある管理を行なうという決定を、欧米諸国は「レアアース戦争」への警鐘だと受け取った。日本も大々的に安くレアアースを供給できる国を探し始めたのだ。同じように消費大国であるアメリカも自国のレアアースの採掘を再開し、中国の半分の価格で市場を勝ち取ると豪語した。日米のこのような強気な態度の裏には訳があるようだ。まず、日本は20年間使えるだけのレアアースを保有しているという持ち札がある。また、アメリカは自国の埋蔵量は世界全体の13%を占めているにもかかわらず、安価な中国のレアアースを輸入していた。アメリカの国会に提出された報告書によれば、北ヨーロッパ、東アジア、アフリカ、アメリカ全土には少なからずのレアアースが埋蔵されている。中国のとある専門家は「環球時報」に対し「一方では大げさに危機感を訴え、一方では市場で中国には依存しないとほのめかし、中国企業を再び安価なレアアースを販売せざるを得ない状況に仕向けている。これこそが、レアアースの消費大国である欧米諸国の魂胆なのだ」と述べた。
最も危機感を募らせているのが、レアアースの埋蔵がなく、且つ最大の消費国である日本だ。20年分困らないだけのレアアースを中国から安く購入はしているが、結局はリーズナブルなレアアースが手に入る供給国を探し始めている。インドは10月24日、日本とともにレアアースの開発を行なうことを発表した。インドは世界でも5番目にレアアースを多く産出している国であり、明らかになっているだけでも世界全体の3%を占める310万トンの埋蔵量を抱え、生産量においては世界の2.2%を占める。第二次世界大戦後、インドのレアアース鉱石の供給量は世界全体の半分を占めていた。日本共同通信社によると、日本はインド東部のオリッサ州にネオジム磁石からレアアースを精製する工場を建設する予定であり、毎年3000~4000トンの生産量を目指している。英ロイター通信は、インドがレアアースを生産するのは2004年以来だと報じた。インドのカピル・シバル元外務次官は「インドは、日本と中国が政策でもめているこの絶好の機に、中国に致命傷を与えようとしている。しかし、かといって日本にレアアース鉱石を直接採掘させることは無いだろう」と言った…
米外交専門誌は9月、南アフリカ、カナダ、オーストラリアなどの会社が競って自国のレアアース鉱山の開発を始めたと伝えた。これに対し「ニューヨーク・タイムス」紙は、「どの国の開発計画もリスクが高く、経済的にどれほどの見返りがあるのかが問題である」と言っている。中国が現在、輸出を制限している為、レアアースの価格は上昇しているが、もし中国が突如考えを変えて価格を下げたとしたら、これらの会社は揃って倒産に追い込まれるという危険性が潜んでいるのである。日本の「週間ダイヤモンド」は11月、「中国へのレアアース依存から抜け出すためには様々な障害を乗り越えなくてはいけない」と述べた。自動車生産業界で言えば、エコカーの生産に必要なレアアース「ジスプロシウム」を低コストで採掘可能な国は中国以外にはないと言っても過言ではない。これに対し、中国現代国際関係研究院経済安全研究センターの江涌主任は「レアアースには放射性物質が多く含まれているため、採掘が非常に難しい。短期間で他の国が中国に取って代わるのは至難の業である」と述べた。アメリカのレアアース産業の成果が出るのには15年かかるとの悲観的な意見もあり、中国にはまだ当分太刀打ちできないだろう…
レアアースが必要不可欠な国はとっくに中国の安価なレアアースを買い込んで大量に備蓄している為、現在の中国のレアアースに対する管理は他国を脅すには事足りない。他国が傍若無人な態度であれこれ言っているのは、中国に今後も不合理な低価格でレアアースを供給させる為である。戦略的な資源を独占している中国を優勢な地位から引き摺り下ろし、中国が劣勢に追い込まれた暁には、高価格で逆にレアアースを売りつけるつもりなのだ。これこそ、レアアースの輸入大国が中国を陥れるために仕掛けた罠である。ある日本の専門家は「日本を筆頭とする一部の国々のレアアースの新たな供給国の確保や自国の鉱山の再開発は、中国をけん制しているというのが確かに背景にある」と話した…
「中国網日本語版(チャイナネット)」2010年11月16日