二、相互投資分野を拡大
中国のアフリカ諸国への投資は80年代から始まったが、初期の段階での投資規模はまだ小さかった。90年代に入って以降、投資規模は次第に拡大し、投資分野も拡充し続け、投資方式も多様化していた。2000年以来、中国・アフリカ協力フォーラムの促進の下で、中国のアフリカへの投資は急速に拡大し、次第に多次元の投資構造を形成するようになった。同時に、アフリカから中国への投資も日増しに活発化し、多くのアフリカ企業は中国市場で目覚しい発展を遂げている。 近年、中国の対アフリカ投資には、次のような新たな特徴が見られる。①成長スピード。2003年末の中国の対アフリカ直接投資額の賦存量は4億9000万ドルであったが、2009年末までにそれは大幅に増加し、93億3000万ドルとなった。②投資国の分布の拡大。中国の投資は、主に、南アフリカ、ナイジェリア、ザンビア、スーダン、アルジェリア、エジプトなど49の国に分布している。③投資分野の豊かさ。主に、採鉱、金融、製造、建築、観光、農林水産・牧畜業などに及ぶ。④投資方式の多様化。独資、共同出資以外に、資本参加やM&A、及び第3国企業と共同出資して資源開発を行うなど、さまざまな方法が増えてきている。⑤主体となる企業の多元化。国有の大中企業、民営企業、個人経営者などが、アフリカで投資して企業を興しており、それぞれ異なった利点があり、相互に補完しあっている。
中国政府の奨励とサポートのもとで、実力と信用を兼ね備えた中国企業は、対アフリカ投資を拡大するとともに、必要な措置を講じて率先して行動し、はっきりとした促進効果をもたらした。まずはじめに、協定の締結などの方式を通じて良好な投資環境をつくることであった。現在までのところ、中国はすでにアフリカにおいて33の国と「二国間投資促進保護協定」を、11の国と「二重徴税回避協定」を締結しており、中国とアフリカの企業間の協力関係構築のための条件をつくり出している。二つ目は、中国・アフリカ発展基金の設立である。この基金は、中国の金融機構が設立したもので、国内企業が対アフリカ投資をサポートするためのストックオプションの専用基金である。設立から3年来、すでに30項目以上のプロジェクトへの投資が決まっており、農業開発、機械製造、電力、建材、工業パーク、鉱業、港湾物流業などの広い分野に及ぶ。当面、第一期の基金限度額である10億ドルの使用計画を立てている。また、ちくじ50億ドルに拡大される見込みである。三つ目は海外の経済貿易協力区建設の推進である。中国企業は、双方の政府のサポートのもとで、協力区のインフラ設備開発を進め、同時に企業誘致、責任をもって国内外企業の入居を推し進め、産業エリアを形成している。現在、中国では、ザンビア、モーリシャス、ナイジェリア、エジプト、エチオピアなどのアフリカの国に、6ヵ所の経済貿易協力区を建設し、協力区内のインフラ施設整備にすでに2億5000万ドルを投入している。ザンビア―中国経済貿易協力区は、中国がアフリカに初めて建設した海外経済貿易協力区で、現在、すでに13の企業が入居しており、その業務は、採鉱、鉱産物の実地調査、非鉄金属加工、化学工業、建築などに及ぶ。完成までの実質投資額は6億ドルで、現地で6000余人の雇用創出をもたらした。 アフリカ諸国は資源が豊富であり、資源分野における開発と協力は、中国とアフリカの投資協力における重要な内容となっている。近年、一部の中国企業は互恵・ウィンウィン共同発展の原則に基づき、積極的にアフリカの資源開発に参加し、資源加工業の発展を支援し、資源の付加価値を高め、資源の強みを社会経済発展の原動力へと転化させている。協力の中で、中国企業は国際的なルールを厳格に遵守し、情報を公開して透明化し、多様な協力方式をとっている。独占的、排他的ではなく、アフリカ諸国とグローバル企業による資源の共同開発及び利用を実施している。この分野における投資は、アフリカが発展するために必要な資金源の幅を広げ、資源価値の向上と現地のインフラ施設の整備や経済の発展を促すことになり、地元政府や民衆の幅広い支持を集めている。例えば、中国及びマレーシアなどの企業とスーダンは共同で石油資源の開発を進めており、スーダンの川上から川下に至る事業が一体化した近代的な石油工業システムの構築を支援している。スーダンの歳入は大幅に増え、国民生活の改善に重要な役割を果たしている。 中国がアフリカで企業を経営するにあたっては、地元の人々との良好な関係を築く必要がある。法律に基づいた経営方針、信義誠実の姿勢を堅持し、資源の節約と環境保護に力を注ぎ、経営の「現地化」を実施している。地元の人びとを採用し、その国の自主的な発展能力を積極的に向上させ、企業そのものの発展のみならず、地元の経済発展に寄与している。例えば、中国のザンビアでの鉱産企業は、製錬工場建設への投資だけでなく、地元の銅資源の利用効率の向上もはかっている。また、金融危機の際には、「生産量を1トンも減らさず、従業員を1人もリストラせず、投資を1元も減らさない」ことを約束し、同国にある7社の外資鉱山企業の中で、生産量を減少することも、従業員をリストラすることがなかった唯一の企業となった。 近年、アフリカ経済の発展と中国市場の潜在力の増大に伴い、アフリカ企業による対中投資が日々活発になってきている。主に、モーリシャス、南アフリカ、セイシェル、ナイジェリア、チュニジアなどが中国への投資を行っている。南アフリカ企業が中国企業と共同出資で設立したビール会社は、70ヵ所近くのビール生産工場を経営している。チュニジアが中国企業と共同出資で設立した化学肥料企業は、すでに中国において大型の複合肥料生産基地の1つとなっている。2009年末現在、アフリカ諸国の中国への累計直接投資額は、99億3000万ドルにのぼり、投資先としては、石油化学工業、機械電子、交通・通信、軽工業・家電、繊維製品・アパレル、バイオ医薬、農業開発、レジャー・飲食、不動産などの分野に及ぶ。アフリカの対中投資は、お互いの優位部分を補完し合うという関係を具現化しており、また、中国がアフリカやその他の地域への商品輸出という流れをつくり出した。