五、民生レベル向上のための支援
公共施設を整備し、食糧問題を解決し、衛生環境を改善し、対外債務の負担を軽減することなどは、アフリカの国連ミレニアム開発目標の達成に係わる重要な民生問題である。中国はアフリカの民生の発展にきわめて関心を持っており、アフリカ諸国のために公共福祉施設の整備、農業レベルの向上、医療衛生環境の改善を支援し、さらにアフリカに対して債務軽減、災害救助、人道的支援を積極的に行っている。 公共福祉施設の建設を積極的に支援する。中国はアフリカ諸国のために低コスト住宅、井戸掘削による給水、汚水処理、ラジオ・テレビ放送、通信施設などの公共福祉プロジェクトの建設を支援し、地元の人々の生活レベルの向上に寄与している。例えば、セイシェル、モザンビーク、アンゴラ、エチオピアの低コスト住宅プロジェクトは、地元の人々の居住環境を改善することになった。ナイジェリア、セネガル、赤道ギニアの井戸掘削プロジェクト、タンザニアのチャリンゼ給水システム、ニジェールのザンデール給水プロジェクトなどは、地元住民の生活用水問題を解決した。赤道ギニアのナショナル・テレビセンターは、地元のテレビ電波の伝送能力とカバー率を高めた。 さまざまな形で農業面の協力を行う。食糧安全はアフリカの安定した発展と貧困削減に係わるものである。農業はアフリカのほとんどの国の支柱産業であり、中国とアフリカの経済・貿易協力の優先分野でもある。中国は終始、アフリカの食糧安全問題の解決を中国とアフリカの農業協力における根本的目標としている。主な農業協力分野には、農業インフラ整備、食糧生産、養殖業・農業の実用技術交流と移転、農産物の加工・貯蔵・輸送などが含まれる。2009年末現在、中国はアフリカのために農業技術実験ステーション、農業技術普及ステーション、農場などの農業プロジェクト142項目を支援し、農業技術モデルセンタープロジェクト14項目を始動させ、また大量の農業用物資、農業機械を提供している。また、中国政府は中国企業がアフリカで農産物加工、農業開発プロジェクトに投資することを奨励している。 アフリカの医療衛生環境を改善する。主な措置として、病院建設の支援、医療チームの派遣、医薬品と医療物資の援助が挙げられる。2009年末現在、中国はアフリカで病院54ヵ所の建設を支援し、マラリア予防センター30ヵ所を設置し、アフリカの35の国に約2億元相当のマラリア治療薬を提供した。1963年からアフリカへの医療チームの派遣を続けてきており、現在までのところ46の国に派遣した医療要員は、延べ1万8000人にのぼり、延べ2億人以上の患者を治療し、またアフリカのために数万人の医療技術者を育成した。中国の医療チームはよく見かける病気、多発病の診療のみならず、条件をつくって心臓・脳血管疾患を治療し、切断肢指の再接着、巨大腫瘍摘出など難度の高い手術を実施し、危篤状態にある多数の患者の命を救い、さらに援助を受けた国の医学分野における多くの空白を埋めた。現在、1000人以上の中国医療チームの隊員がアフリカの41の国で医療活動を行っている。 アフリカの債務負担を軽減。中国政府は一貫してアフリカの債務削減への努力をサポートし、アフリカの対中債務の削減を支援している。2000年から2009年までに、中国は35ヵ国の312件、計189億6000万元にのぼる債務を免除した。以上の債務削減措置は、中国のアフリカの発展を助ける念願と決意を具現化し、国際社会のアフリカに対する債務削減活動を促すこととなった。 減災・災害救助と人道的支援を行う。中国はアフリカと減災・災害救助分野における人的交流、技術協力、経験交流を積極的に行っている。アフリカが自然災害と戦乱にさらされたとき、中国は人道的支援をすみやかに行った。国力の向上に伴い、中国はアフリカへの人道的支援をいっそう増加させている。2003年にアルジェリアでマグニチュード6.8の地震が発生したとき、中国はただちに緊急援助物資を供与し、また国際救援隊を派遣し、災害援助額は計536万ドルに達した。2004年、中国は緊急人道的救援メカニズムを構築し、救援活動がよりスピーディーかつ効果的なものになった。近年、中国はスーダンやマダガスカル、ブルンジ、タンザニア、ソマリア、エチオピア、レソト、ジンバブエなどの国の災害に対する抵抗力や災害後の再建能力を高めるために、食料やテントなどの緊急援助物資を供与した。2004年以来、中国はダルフール地域への人道的援助物資の供与と井戸掘削による給水プロジェクトの実施のために、スーダンに1億5000万元近くの無償援助を提供した。