三、インフラ施設の整備を重視
インフラ施設の立ち遅れは、アフリカの多くの国の発展を制約するボトルネックとなっている。インフラ施設の整備は、中国とアフリカの経済貿易協力における重要な分野の1つである。中国は、アフリカ諸国がインフラ施設を改善することを重視し、援助、プロジェクトの請負、投資協力、融資の増大などの方法を通じて、住宅や幹線道路、橋、鉄道、空港、港、通信、電力、給水・排水、病院などのインフラ設備を整備し、それによってアフリカの発展に積極的な影響をもたらすようにしている。中国は、中国企業がアフリカ諸国でインフラ施設を整備することをサポート、または、それを奨励しており、企業に対して、契約の重視、信用の遵守、プロジェクトの質の確保などを求めている。 数年来、中国は、アフリカ諸国に対し、数多くのインフラ施設の整備プロジェクトを支援している。20世紀70年代は、中国みずからの経済も困難な状況にあったが、タンザニアとザンビアを結ぶ全長1860キロの鉄道の建設を支援し、これは見返りを求めない中国のアフリカへの支援の歴史の証となっている。また、中国の支援によってつくられたエジプトのカイロ国際会議センターは、建築面積5万8000平方メートルで、毎年百回以上にものぼる国際会議及び展覧会などが開かれており、地元のビジネスや貿易、観光業の発展を促している。2009年末までに、中国は500項目以上のインフラ施設の整備プロジェクトを支援し、比較的大規模なプロジェクトとしては、ソマリアのベレトウェイン―ブラオの幹線道路、モーリタニア友誼港、チュニジアの麦熱爾徳(Mashta al Anad)―崩角(Ben Jarw)の用水路、タンザニアのナショナルスタジアムなどの建設が挙げられる。アフリカ連合(AU)会議センターなどの一部プロジェクトは現在進行中である。 アフリカ諸国がインフラ施設を改善することをサポートするため、中国政府は、巨額の特恵貸付を提供し、中国の金融機構によるアフリカへの商業貸付規模の拡大をバックアップしている。特に、中国・アフリカ協力フォーラムの発足以来、中国はアフリカへの融資を増やし続けてきた。2007年から2009年までに、中国がアフリカに提供した特恵貸付と優遇輸出バイヤーズクレジットは50億ドルにのぼる。2010年から2012年までに、中国はアフリカに100億ドルの特恵貸付を提供することになっている。特恵貸付がサポートしている建設中のものとしては、モーリシャス空港、赤道ギニア共和国のマラボ住宅団地、ガーナのブイ水力発電所などが挙げられる。 中国のプロジェクト請負企業は、国際ルールに則ってプロジェクトを実施しており、競争入札の形式で建築工事を請け負っている。高品質を保ちながら、建設費を抑えた、当面必要とされるインフラ施設の建設を行っている。住宅団地や道路から空港、石油精製工場、通信ネット、水力発電所に至るまで、プロジェクトの技術力はたえず向上しており、規模も絶えず拡大されている。単一企業が入札する形からコンソーシアムによる入札という形になり、中国企業はアフリカで実力を発揮し、経験を蓄積し、人材を育て、グローバルな経営能力を向上させている。中国企業が建設した大型プロジェクトとしては、アルジェリアのシェラトン・クラブ・デ・パン・リゾート&タワーズ、エチオピアにおける全国規模の電信網の敷設、スーダンのメロウェダムの建設などが挙げられる。建設中のプロジェクトには、アンゴラのソーシャル住宅団地、リビアの沿岸鉄道、ナイジェリアのラゴスの軽軌鉄道などがある。 中国企業は、進んで社会責任を負うことに努めている。地元の民衆に恩恵をもたらす公益事業に積極的に従事しており、地元政府や国民から認知され、積極的な評価を得ている。中国企業は、アフリカ諸国で、道路の修理、橋の建設、井戸の掘削、病院や学校の建設のために寄付を行うほか、物資の寄贈などの援助を行っており、地域社会の発展に積極的に貢献している。例えば、中国企業のスーダン公益事業に対する支援により、すでに200万人余りがその恩恵を受けている。また、ナイジェリアでは中国ナイジェリア友好小学校の建設により、300ヵ所の村で基礎教育の問題が緩和された。アンゴラやリビアなどの国では、職業訓練センターを設立し、すでに多くの学生が職業訓練を受けている。