一、中国の人的資源の基本的状況
人口が多く、労働力資源が豊かであることは中国の基本的な国情である。多年来、中国政府は積極的、効果的な政策措置をとり、人的資源の開発と利用に力を入れ、中国の人的資源の状況はそれによって著しい変化が見られた。
人的資源規模の継続的な拡大。2009年末現在、中国の総人口は13億3474万人(香港、澳門〈マカオ〉特別行政区と台湾省は含まない)に上り、そのうち、労働力資源は10億6969万人で、2000年比で1億1267万人増えた。就業者数は7億7995万人であり、そのうち、都市部の就業者数は3億1120万人で、2000年比でそれぞれ5910万人、7969万人増えた。
図1 2000—2009年の労働力資源の変化図(単位:万人)
図2 2000—2009年の都市部と農村部の就業者数(単位:万人)
国民の教育レベルの顕著な向上。国は教育優先の発展戦略を実施し、比較的完全かつ現代的な国民教育システムを確立した。2000年に9年制義務教育の基本的な普及と青壮年の非識字者を基本的になくすという目標を実現した。高校段階の教育普及率は大幅に向上し、職業教育は重点的に強化され、大学教育は大衆化段階に入った。2009年、全国の一般高校の在校生は2434万2800人、各種の中等職業教育の在校生は2195万1600人となった。一般大学の本科・専科の在校生は2144万6600人、在学の院生は140万4900人であった。教育事業の発展によって、就業者の教育レベルは著しく高まっている。2009年末現在、全国で15歳以上の人口の1人当たりの教育を受ける年数は8.9年に近づいた。主な労働年齢人口の1人当たりの教育を受ける年数は9.5年で、そのうち大学教育を受けた人口の比率は9.9%であった。新規労働力の1人当たりの教育を受ける年数は12.4年に達した。
図3 2001—2009年の大学卒業生の人数(単位:万人)
就業者の産業配置の最適化。中国経済の発展と産業構造の調整に伴い、第1次産業の就業者の比率は大幅に下がり、第3次産業の就業者の比率は大きく上がっている。2009年、第1次、第2次、第3次産業の就業者比率は2000年の50.0:22.5:27.5から38.1:27.8:34.1になった。
図4 就業者の従事する産業における比率の変化
第1次産業における就業者の比率
第2次産業における就業者の比率
第3次産業における就業者の比率
人材資源開発において取得した積極的な進展。人材とは、一定の専門知識や専門技能を備え、創造的な労働を行い、また社会に貢献した人を指し、人的資源の中で能力や素質が比較的高い労働者である。中国政府は一連の重大な方針・政策を制定、実施し、党と政府の人材、企業の経営管理人材、専門技術人材、ハイレベル技術人材、農村の実用的な人材、社会活動の人材など各種人材陣の建設を統一的に計画し、推し進めている。長年の努力を経て、人材資源の総量は増加の一途をたどり、人材の素養は著しく高まった。また、人材構造はさらに一歩進んで最適化され、人材使用の効果は徐々に向上している。2008年末現在、全国の人材資源の総量は1億1400万人に達した。
所得、衛生、社会保障などの人的資源発展のための保障条件がちくじ整備される。社会と経済の持続的かつ迅速な発展に伴い、都市部と農村部の住民の収入は安定した伸びを実現した。都市部住民の1人当たりの可処分収入は、1949年の100元以下から2008年の1万5781元に上昇した。農村部住民1人当たりの純収入は1949年の44元から2008年の4761元に上昇した。国は力を入れて公共衛生システムの建設を展開し、国民の健康レベルの向上を保障し、2009年末現在、全国には合わせて28万9000カ所の衛生機構があり、衛生技術者数は522万人、病院と衛生院のベット数は396万床である。近年来、中国政府は全力で社会保障制度の建設を推し進め、都市部と農村部をカバーする住民の社会保障システムの確立を加速させ、すべての人が基本的な生活保障を享有できるよう努力している。2009年、都市部の基本養老保険の加入者数は2億3550万人に達した。都市部労働者・職員基本医療保険、都市部住民基本医療保険と新型農村合作医療保険の加入者数は合計12億人を上回った。失業保険、労働災害保険と生育保険の加入者数はそれぞれ1億2715万人、1億4896万人、1億876万人に達した。中国は最低生活保障制度を実施し、2009年末現在、2347万7000人の都市部住民と4759万3000人の農村部住民が政府最低生活保障を享受した。国は全国で大規模な貧困救済開発を計画的、組織的に進めており、2009年、農村の貧困人口は3597万人に減少し、貧困の発生率は3.6%となった。