止まらない円高が日本の自動車産業に深刻なダメージを与えている。同時に産業チェーンの生産構造にも影響を与えている。そのため、自動車取得税の軽減を求めるよりも、円の安定こそが抜本的な対策といえるだろう。
日本自動車工業会は11月7日に公式会見を開き、政府に対し車両税の取り消しを求めた。自動車の購入意欲を刺激することで市場を活性化したいというのがその意図だ。ホンダやトヨタ、日産といった大手自動車メーカーの社長が集まってのアピールである。すでに2009年には、自動車重量税や取得税が減免され、助成金が出されていたが、今回はさらに一歩踏み込み、車両税の完全廃棄を要求した。
モータリゼーションがすっかり進んだ日本社会では、東京や大阪といった中核都市の交通管理システムはかなり科学的だ。公務車両も中国と比較してずっと少ない。そのため大渋滞は北京ほど常態化していない。つまり、交通渋滞は自動車業界にとって振興の妨げにはなっていない。むしろ、イギリスやフランスなどの2倍から3倍以上ある日本の自動車関連税率が、自動車産業の利益をむしばんでいる。同時に、日本の家庭における自動車所有率は5年連続で減少している。そのため、税金の取り消しで自動車の購入意欲を高めるというのは確かに説得力がある。