欧州の債務危機、資金不足の深刻化に伴い、中国が欧州を資金援助するかどうかが近ごろ西側の各大手メディアで大きく取りあげられている。中国からの支援を歓迎し、期待する声は少なくないが、疑い、反対する声も多い。フランス・カンヌで開かれた20カ国・地域(G20)首脳会合の結果から、「中国は財布のひもを締めるようになった」と見る人もいる。
この見方が事実と異なることは明らかだ。
まず、中国の資金援助が必要かということに関して、欧州で意見が一致していない。ギリシャやポルトガルなどは中国からの援助を熱望し、フランスとドイツはG20カンヌ・サミットで中国が救済計画に加わることを望む提案をしたが、その一方で疑いを持つ国もまだあり、欧州連合(EU)やユーロ圏から中国に正式な救済の申し出もない。また、民間とメディアにはさらに多くの見方があり、なかには中国が欧州債務危機に対して何もしようとしないことを批判しながらも、中国が欧州を「買い占め」ようとしているとし、中国資本に疑いを持つ人もいる。
次に、EUが策定する救済計画の詳細がまだ公布されていないため、手のつけようがない。G20カンヌ・サミットで、フランスやドイツなどは救済計画に関する実行可能性のある文書を提供せず、資金提供は国際通貨基金(IMF)を通して行うのか、それとも欧州金融安定ファシリティー(EFSF)を通すのかさえも決まっていない。このような状況下で各方面が焦って手を出せば、多大なリスクを背負うことになる。EUは、これが欧州救済で国際社会が一致した行動をとるための重要な前提だとの認識で一致している。
最後に、EUに実際欠けているのは資金ではない。欧州には十分な資金がある。ドイツなどの欧州の大国は実力があり、北欧諸国を襲った経済危機でも打撃を受けなかった。欧州の民間と企業には十分な資金があり、救済資金を出す能力がある。現在問題なのは、この危機が欧州に蓄積された各種の深い構造的な問題を一気に爆発させ、「輸血」だけで問題を根本から解決することが非常に困難ということだ。欧州に必要なのは資金だけでなく、「自力救済」の責任と改革の勇気を持つことがさらに重要である。
実際のところ、中国が欧州を救援するかどうかは「作られた話題」である。欧州債務危機が始まってすぐに中国は救済の行動に出た。中国はEUとIMFが打ち出した各種の救済策を支持し、ギリシャなどの国債を買い入れ、輸入と投資の拡大などの実際の行動を通して困難克服を支援するというもので、どの国際的な場でもEUを声援した。グローバル化が進んだ今、国同士の関係は利益にかかわってくる。欧州を助けることは自身を助けることと同じで、欧州債務危機がまん延すれば世界経済に影響する。
要するに、中国は苦労してためた金をしっかり管理しているが、必要な時には気前よく出す。中国は世界経済の回復と安定に大きく貢献し、引き続き自らの方法で欧州を助けると見られ、欧州は責任ある態度と誠意を見せなければならない。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2011年11月15日