依然として強固な実力本位の経済構造
第一に、日本の製造業は依然として強い。利益を生み出す力があり、効率的に雇用率を上げ、個人消費を増やしている。最近では、宇宙や航空、マイクロエレクトロニクス、精密機械、計器、新エネルギー、新素材といった、高技術・省エネ・クリーンが特徴の高付加価値製品を作る工業体系が、産業移転の進展に伴って日本国内で構築され始めている。これらは今後、日本が強力な輸出力を持つための基盤となるものである。
同時に、産業移転の過程において、日本は投資、合資、金融取引などによって進出先に大量の工場や会社、営業拠点を設けている。進出先の工業や企業の一部は、日本経済のネットワークの中に取り込まれることになる。核心となる部品や技術の供与により、相手国の企業の生産と売上をコントロールすることができる。日本の親会社による複雑な関連貿易から生まれる利益の大部分は、再投資するか本国に回される。
第二に、日本は金融派生商品をあまり発達させることなく、金融業を巨大化させてきた。そのため、金融危機においても、それほど大きな打撃を受けることはなかった。