また一方では、流動性をめぐる状況の変化が引き下げ調整に実行可能性を与えたといえる。
第一に、海外から中国に流入する資金の減少と貿易黒字の縮小により、10月の外国為替資金残高は248億9200万元に減少し、単月の数字としては2007年12月以来の減少となった。外国為替資金残高とは、人民銀の外貨資産の購入に応じて市場に投入された本国通貨であり、外国為替資金残高が増加すると、基礎通貨の量を直接増加させ、通貨の乗数効果によって、流通する人民元が急速に増加することになる。巴副所長は「中央銀行の預金準備率引き上げの狙いは、外国為替資金残高の増加がもたらした流動性の新たな増加へのリスクヘッジにある。今は外国為替資金残高が減少して市場の流動性供給が不足するとみられ、これにより預金準備率引き下げの余地が出てきた」と話す。
第二に、ここ2-3カ月の間に人民銀の満期手形が大幅に減少し、人民銀の通貨へのリスクヘッジ圧力が緩和されたため、預金準備率を引き下げる可能性が出てきた。