(3)為替市場:人民元レートの安定化に取り組む
12月に入ると、続騰していた人民元レートの動向が逆転した。12月9日現在、中国外国為替直物取引市場において、人民元の対米ドルレートが8取引日連続で値幅制限の下限に達し、ストップ安となった。このほど、人民元の対米ドルレートは、再び6.34の水準に達した。
一時的に、「資本流出」、「利食い」、「中国を不安視」といった観点が相次いで現れた。しかし専門家の多くは、「元安に対する過度な反応は、これまでの長期的な元高予想によるものだ。今回の段階的なレート変動は、人民元レートの形成メカニズムが、日増しに市場化に向かいつつあることを示している」と見ている。
人民元レートの1年間の動向を振り返ると、「水面下で波乱に満ちていた」と表現することができる。人民元レート法案が米国上院を通過し、一部の国家は世界経済の「二番底」が貨幣価値を下げることを懸念している。「大幅高騰、小幅下落」が人民元レートで常態化しており、今年1-8月で約4%の元高が生じた。
外国からのさらなる圧力、国内外貿易利益の減少により、中国の多数の中小企業が中心となる実体経済が、深刻な圧力を被っている。温州服装商会の蔡歓天副会長をはじめとする同商会の責任者は、「貿易会社の平均利益は約5%のみで、元高の進行が企業圧力を増大させている」と述べた。
マクロ面から見ると、元高予想は間接的に、国際投機資本の大量流入を招いている。投機資金は中国国内の物価を吊り上げ、かつ中国国内の金融安定と外貨準備高の減少にリスクをもたらす。
中央経済工作会議は現在の国内外経済のさまざまな特徴に基づき、来年の人民元レート政策に関して、「金利市場化改革とレート形成メカニズム改革を強化し、人民元レートの安定を維持する」との基調を設定した。