宝鋼集団を視察した当初、我々は鉄鋼業界はエネルギーを大量に消費する汚染度の高い産業だと認識し、技術革新の余地はないと思っていた。しかし、報告を聞いて、その見方が変わった。材料は科学的で、常に技術革新が求められている。これまで、我々はいくら資金をはたいてもアメリカの炭素鋼を購入することはできなかった。しかし、その問題も宝鋼集団の研究・開発により解決された。
大企業、小企業を問わず、生き残る唯一の方法は自主革新を行うことである。私はこれまで、製造業の競争は表面的なブランド、マーケティング、ビジネスモデルの競争だと思っていた。しかし、実際は技術の競争だった。アップル社製品の成功からも分かるが、世界のトップに立つには、絶えず自主革新に努めなければならない。
我々は家電業界の教訓については非常に詳しい。1980年代後期、長虹など中国の家電企業が台頭し、中国は世界最大の家電生産国となった。しかし、我々は高望みばかりをし、研究、開発、コア技術の創出に努めなかった。長虹はコア製品のブラウン管市場独占を目指して買占めに走り、TCL集団もフランスのトムソン社買収を行った。最終的にこれらのやり方は家電業界の失敗を招いた。そして、液晶パネルの時代に入り、カラーテレビ業界の夢は完全についえた。
家電業界の失敗の教訓から次のようなことが分かる。第一、製品の移り変わりは速い。したがって、常に最先端の研究開発分野で世界と同調するよう努める必要がある。第二、国外進出を果たしたからといって、最先端の技術を買収することは不可能である。最先端の技術は買うものではない。買収を成功させるには、自社のコア技術を確立していなければならない。第三、企業が市場競争の中にある以上、我々は常にリスク意識を持たなければならない。いかなる企業も大きなリスクに直面する可能性はある。それを常に頭に入れておかなければならない。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2012年1月13日