角川グループホールディングスの角川歴彦会長
周牧之:インターネットが日本のコンテンツ作品を世界に普及させた立役者であることは間違いありません。日本のコンテンツ作品はすでに世界で多くのファンを獲得していますが、重要なのは、収益を生み出すネットビジネスモデルをいかに構築していくかという点でしょう。
角川歴彦:コンテンツ商品の場合、ネット上で利益を得る術がないというのが大きな問題なのです。このままいくと、インターネットでは優秀な作品を送り出すことが難しくなってしまうでしょう。最近、ハリウッドで新しい法案が提出されました。著作権法の改正に着手するものでしたが、シリコンバレーの強烈な反対に遭っています。
周牧之:現在はネット企業の天下です。コンテンツ関連産業はネットに絡め取られ、廉価または無償で作品を提供せざるを得なくなっています。本来ならば、インターネットは作品を運ぶための媒介やルートに過ぎません。将来的にはもっと多くの優秀な創作をどんどん世に送る必要があるわけですが、そのためには、ネット時代に適応するクリエイティブ産業の発展モデルを模索していくことが、非常に重要になってくると思います。
角川歴彦:著作権尊重の観点から言うと、韓国の状況は中国と非常に似ています。韓国のクリエイターが日本に来て稼ぐのは、自国で著作権が充分な保護を受けていないからです。日本という市場がなければ、韓国のテレビ、映画、音楽が今日のような成功と規模を獲得することはなかったでしょう。