株式会社ファンケルの宮島和美代表取締役社長
「中国現地生産で最も重要なのは教育」
周牧之:日本は平均寿命が最長の国家ですが、同時に医療費負担が最も重い国家でもあります。今日の日本の巨額財政赤字と国債を生みだした主要因の一つがこの医療費負担であるわけです。少子化や高齢化もこうした状況を一層深刻にしています。しかし、見方を変えれば、健康食品産業にとっては大きな追い風になります。
宮島和美:“予防医学”を提唱したFANCL創業者の池森は、治療にばかり注目するのではなく、自分が病に罹らないよう努力しなければならない、と話していました。予防を主体にした健康食品が新分野、新市場として登場した背景にはこうした考えがあります。
周牧之:以前、ある中国の太医(皇帝・宮廷付きの医者)の末裔が「太医の主な職務は皇族の健康管理、民間医師の主な職務は治療だ」と私に話したことがあります。こうした考えから見れば、予防医学は一般庶民が皇族のような待遇を受けるようなものだと思います。病気になってから治療に行くのではなく、心身の健康を維持し保護するために努力するわけです。
宮島和美:日本の医療市場の規模は36~37兆円で、ほぼ日本全体の税収に相当します。これに対し、健康食品の市場規模は2兆円に満たず、まだかなり小さい存在です。昔の健康食品は非常に高価で、供給業者の規模も小さいものでした。FANCLが健康食品市場に参入したのは1994年ですが、その後健康食品の価格が大幅に下がり、大衆化が進んだのです。