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市場調査会社の大手GFK(本部・ドイツ)がこのほど発表したデータによると、中国の海爾集団(ハイアール)の日本市場シェアが、日本で展開する2つのブランド「ハイアール」と「アクア」を合わせて5位に躍進した。うち洗濯機のシェアは日立とパナソニックに次ぐ3位、冷蔵庫はパナソニック、シャープ、三菱に次ぐ4位だった。
ハイアールは2011年10月に日本の三洋電機と買収合意を結び、今年初めに日本市場で両ブランドの営業をスタートした。アクアはハイアールが三洋から買収したハイエンド白物家電のブランドだ。ハイアールが今回の買収をどうやって成功させたのか、ライバルがひしめく日本家電市場で急速に発展したのはなぜか。こうした問いをめぐり、ハイアールアジアインターナショナル株式会社の杜鏡国総裁(社長)は取材に対して次のように述べた。
▽M&A取引はまれにみる複雑さ 法律文書だけで段ボール4箱
三洋の合併買収(M&A)プロジェクトは、ハイアール内部ではそれぞれの社名から1字ずつ取って「海洋プロジェクト」と呼ばれている。このプロジェクトを通じて、ハイアールは三洋が日本と東南アジアで展開する白物家電業務を買収し、研究開発センター1カ所、生産工場4カ所、5カ国での販売ルート、1200件を超える譲渡された特許、50件を超える商標、3千人以上の従業員を手中に収めた。取引は6つの国でそれぞれ行われた。同プロジェクトは対象範囲が広く、内容が多岐にわたり、プロセスが複雑で、ここ数年のアジアでのM&A取引の中でもまれなケースとなった。
このような複雑なM&A取引に直面して、ハイアールは業務、人材、財務、法務、供給チェーンなどの全プロセスにわたるプロジェクトチームを立ち上げ、外部資源を整備し、目標を定め、必ずやり遂げるとの意志を示した。同チームは事前調査の段階で十数カ国を訪れ、ターゲット企業について実地調査を行い、労働者、財務・税務、知的財産権など8分類・約1100項目のリスクを列挙した。こうして調印された文書は、法律関係のものだけで段ボール4箱分になった。
日本の家電業界ではこのM&Aに対してマイナスの反応はほとんどみられなかった。ある専門家は、「これは中国企業が日本の有名ブランドを買収した初めての取引だ。三洋電機は1200件以上の特許をハイアールに譲り渡しており、アジアでのこれまでで最大の知的財産権の譲渡取引でもある」と述べた。