中央銀行は通常は、預金準備率を引き下げることで外貨購入に伴う自国通貨の放出額の減少を相殺するが、そのペースは予想していたよりも遅い。2012年1―7月、外貨購入に伴う自国通貨の放出額は3000億元増加、一方、2011年の同じ時期の増加額は2兆3000億元に達していた。適切な流動性を維持するために、中央銀行は預金準備率を200ベーシスポイント以上引き下げる必要がある。しかし、中央銀行が引き下げを行ったのは2012年2月と5月の2回だけで、リバースレポ取引を頻繁に実施することで銀行間資金の調節を行っており、流動性の好転は予想よりも遅い。特に、7月中旬以降、資金面は新たな緊迫の局面を迎えている。2年物と10年物の国債が満期となり、利回りはそれぞれ80ベーシスポイント、24ベーシスポイント上昇している。上海銀行間取引金利(SHIBOR)の短期の利回りも著しく上昇している。もちろん、中央銀行が預金準備率の引き下げを遅々として行わないのは、一方で物価の反発を招く可能性があることを考慮し、他方では流動性が決して流出しておらず、外貨と言う形で国内に留まっていることが大きく関係している。
アナリストは「第4四半期、人民元の流動性は改善される」との見方を示している。