米商務省の元副長官「中米貿易論争は大統領選挙の犠牲者」
復旦大学の呉心伯教授はこのほど次のような論考を発表した。「環球時報」が伝えた。
米国大統領選挙の最後の討論会が終わったその日に、筆者はワシントンに到着した。すると米国の友人から、「今年の大統領選の討論会では中国に言及する回数がイスラエルに次ぐ多さだった。うれしいことだね」と半ば本気、半ば冗談で言われた。
冷戦が終結すると、米国大統領選挙で取り上げられる中国のテーマが、人権問題から安全保障の問題へ、安全保障の問題から経済問題へと変化し、また取り上げられる回数も増えてきた。1992年の選挙では中国の人権問題をやり玉に挙げていたが、登場回数は1けた台だった。ここから米国の冷戦終結から間もない勝利者の気分と西側の制度・価値観に対する優越感とがうかがえる。2000年の選挙では中国が安全保障上の脅威であると騒ぎ立てた。これはクリントン政権の2期目に(野党の)共和党がひっきりなしに「中国脅威論」を吹聴したことを受けたもので、米国の保守派が中国の勃興に対して抱く懸念や不安を反映している。そして12年の選挙では、中国がつきつける経済面での挑戦が特に取り上げられている。これは米国経済の低迷によるものでもあり、中国経済の急成長がもたらした衝撃をまざまざと見せつけるものでもある。