第二に、経済はすでに中米関係の主導的要因となっており、これからも主導的要因であり続けるとみられる。積極的な面について言えば、中米関係の相互依存度の高さや中国経済の発展の見通しが明るいことが、米国に対中経済関係を重視せざるを得なくさせている。消極的な面について言えば、中国の経済競争力が高まるにつれて、中米経済の相互補完する部分が減少する一方、競争する部分が増加し、摩擦も増加することが予想される。中米経済関係にどのように対処するかが、両国の指導者の二国間関係における第一の関心事になるとみられる。
それでは、中米経済関係はますます緊張して、1980年代後半から90年代前半にかけての日米貿易摩擦のように解決できない大問題になるのだろうか。筆者のみるところその可能性は低い。中国がハイエンド製造業の分野で、80年代の日本がそうだったように米国の競争相手になるには、まだ長い道のりを歩かなくてはならない。中国市場の海外直接投資に対する開放度は日本よりも高く、現在の米国の対中直接投資は貿易摩擦当時の米国の対日直接投資をはるかに上回っており、こうしたことが中米間の経済問題の緩和にプラスになる。言うまでもなく、中国が保有する巨額の米国国債も米国の貿易保護主義に対して一定の抑制作用があるとみられる。中国経済が高い発展ペースと国内市場の継続的拡大を維持していることは、中国がまもなく米国にとって一番目の輸出市場になり、米国の経済成長に対する牽引力をますます強めることを意味している点が最も重要だ。以上のことをまとめると、中米経済関係は今後ますます競争の側面を強め、問題や摩擦が増えるが、全体としては安定を保ち、大規模な貿易戦争は起こらないといえる。(編集KS)
「人民網日本語版」2012年11月2日