協力メカニズムは日中産学官の力を結集し、都市化と環境問題の解決に挑むものである。日本の産業は高い技術力を持ちながら従来、中国における都市化と環境問題という2大分野への参入がなかなか難しかった。同メカニズムは2大分野における日中間の交流を促進し、政策交流、産業協力、技術交流の環境を整えるものでもある。これを契機に、日中の都市ビジネスと環境ビジネスも促進が見込まれる。
中国の都市化は生活水準の向上とライフスタイルの変化といった生活革命を引き起こしている。しかし、中国にはこれを支える生活文化産業の力が不足している。例えば医療はニーズが急速に高まっているにもかかわらず、これに応えうる医療サービスは量質ともに欠如している。いままで内需型だった日本の医療関連産業が、中国のこうしたニーズを受けて輸出型産業へと変貌を遂げれば一大輸出産業、海外投資産業に成り得る。
6月に開かれた国際シンポジウム「生態文明社会建設を目指した日中協力メカニズムの形成に向けて」と、セミナー「医療クラスターの意義と展望」で、日本ではまだ広く知られていない中国における生態文明建設に向けた動向を紹介した。鎮江生態ニューシティープロジェクトをモデルとして、都市問題、環境問題解決に向けた日中協力メカニズムについて議論し、両国をはじめ世界の英知を集めて「地球益」を探求し、内外から高い関心を集めた。
中国の成長と直面する課題は、日本経済に新たな可能性を生み出している。その歴史的なチャンスをものにするにはまず、日中交流と協力とをサポートできるプラットフォームを整備することが欠かせない。さらに、新しい時代における「ウィン・ウィン」ゲームのビジネスモデルを確立しなければならない。
文=しゅう・ぼくし 1963年中国生まれ。85年中華人民共和国機械工業部(省)入省。日本開発構想研究所研究員、国際開発センター主任研究員などを経て07年から現職。財務省財務総合政策研究所客員研究員、ハーバード大客員研究員、マサチューセッツ工科大客員教授を歴任。(中国)対外経済貿易大客員教授と中国科学院科技政策与管理科学研究所特任教授も務める。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2013年9月4日