中国経済の現在の成長率は3年前と比べると大きく下落している。GDP成長率は7.5%前後に下がり、名目GDP成長率も一ケタに落ち込んだ。中国経済にはまだ、比較的急速な成長を維持する潜在力があるのだろうか。あるとすれば、新たな成長分野はどこにあるのか。どのような改革・革新によって中国経済の新たな成長分野の発展を促すべきか。現在のマクロ経済の動向を分析するにはこれら3つの問題に答えなければならない。(作者・李稲葵、清華大学中国・世界経済研究センター主任)
中国経済には急速成長の潜在力がある
中国経済の成長潜在力についての問いに答えるには、中国経済の目下の発展段階を大きな歴史的背景に置いて考察する必要がある。
中国は、過去36年にわたる急速な経済成長を経て、世界第二の経済体に発展した。その経済規模は、世界第三の日本と比べても2倍近くに達している。だが中国の一人当たりGDPの発展水準が依然として、購買力平価換算で米国の20%にすぎないということを忘れてはならない。