▼投資主体は国から民間へ▼
中国の初期の対外投資プロジェクトは、石油、天然ガス、鉱業などの天然資源の分野に集中していた。しかし現在では、投資対象の多様化が一段と際立ってきており、電信、医療、不動産、物流、食品、カルチャーなどの分野に広がっている。投資主体も、従来の政府や国有企業が中心だった時代から民間企業が中心の時代に大きく変化している。今年の第3四半期末までの民営企業の海外投資に占める割合は40%にまで上昇。政府が民間の海外投資を後押ししているためである。米国のボストンコンサルティングによれば「企業は発展過程で必ず国際化の道をたどる。海外投資はその過程で必要不可欠である」という。
斉藤教授はまた「対外投資によってブランドや技術を手に入れ市場を開拓することで、中国企業の国際競争力は一段と強化される。レノボや吉利(自動車)は、海外M&Aによって外国企業との差を一気に縮め、国際市場における非価格競争力を一段と高めた」と指摘する。