「雪辱戦」。日本の有名な経済誌「週刊東洋経済」は19日号で、日本とインドが高速鉄道プロジェクトで達成した合意をこんな言葉で表現した。日本は急速に、アジア諸国の高速鉄道などのインフラ建設での中国との全面的な対抗を強めつつあるようにも見える。日本の経済評論家・樋泉克夫氏は、アジア諸国のインフラ建設での日中の競争は「絶対に譲れない至上命題」と論じている。日本の「新幹線」と中国の高速鉄道はいずれも、それぞれの国の設備製造業の「名刺」となっており、両国は海外への売り込みに熱を上げている。とりわけアジアという最大かつ発展の見通しが最も高い市場にあっては、インフラ建設はすでに、経済を引っ張る主要な原動力となっている。日本での調査を経て筆者が感じたのは、アジアのインフラ建設市場の争奪に走る日本の心境は理解できるが、中国との協力が無視されているということだった。(文:陳言・日本企業(中国)研究院執行院長。環球時報掲載)
周知の通り、日本の高速鉄道技術は進んでおり、その運行も極めて安全ではある。だがインドネシアの高速鉄道プロジェクトの受注を逸した日本は、自国の技術の先進性を信じすぎた過去の態度を改め、「日本は高速鉄道プロジェクトでなぜ中国に負けたのか」という問題を慎重に考え始めている。日本メディアの多くはこれについて、日本の技術は「ハイクオリティ」を強調する余り、価格での勝負となると中国には太刀打ちできないのだと分析している。
だがインドネシアをよく知るある日本の記者は筆者に、「中国がインドネシアの高速鉄道を最終的に受注できたのはまず、中国が現地企業との合弁で新企業を設立し、この企業が高速鉄道の建設を直接担当することにしたためだ。また、中国は高速鉄道を建設する技術を持っているだけでなく、インドネシア側が打ち出した要求を満たすこともできた」と語った。日本貿易振興機構(JETRO)のある幹部も筆者に、「政府の態度がどうかはともかく、中国が受注したインドネシアでのプロジェクトでは、多くの日本企業も利益を得ることができる。技術などを中国に譲渡することによって、最終的にインドネシアへの輸出を実現することもできる」と指摘した。インドネシアの高速鉄道プロジェクトの中国による受注に対するこうした客観的な分析は、日本メディアではほとんど見受けられない。多くの日本メディアは、インドネシアの高速鉄道プロジェクトの受注に失敗した原因について今も、日本の資金のつぎ込み方が足りなかったためだとしている。ある論者は、インドネシアの高速鉄道プロジェクトで中国に負けたのは、中国が政府を通じて高速鉄道を売り込んでいるのに対し、日本が取っているのは企業の自力更生の道だからだとしている。