◆ 現代経済学が抱える矛盾
経済成長と持続可能な発展に欠かせない環境問題という相矛盾する事象が同時に生じるのは、そもそも現代経済学が「最大利益の追求」と「効率化」という矛盾を抱えたまま議論を続けていることに、根本的な問題があると思われる。企業にとって環境対策コストはマイナスでしかなく、金銭的には利益を生み出すものではない。
しかし、汚染の除去や被害住民への補償を考えれば、逆にコストが高くなることは分かるのだが、経済の急速な発展過程ではこの問題が無視されることが往々にしてある。むしろ最大利益を貨幣という数字のみで捉えるのではなく、人間の幸福感や満足感で表すのであれば、現代経済学の矛盾は自ずと解決されるのではないだろうか。今後の中国の経済政策の実施に期待されるところである。
(本稿は筆者個人の意見であり、所属機関を代表するものではありません。)