神話の終焉
多少の優劣はあれども、ドイツ、日本、欧米の自動車といえば、先進の技術、熟練した技、卓越した性能、優れた耐久性などの代名詞が付いてきた。しかし次々とスキャンダルが明るみになるにつれ、このイメージも徐々に変化しつつある。
実際、自動車の国際ブランドメーカーの不正行為は決して少数ではない。
「グリーンカー・ジャーナル」誌はかつてエコカー賞をもうけていた。フォルクスワーゲンの車も受賞したことがある。しかしこの賞は最近取り消された。ペテン行為に振り回されていることに自動車購入者は気付き始めた。アメリカでは58万台の、全世界では1050万台のフォルクスワーゲン車が、「エコカー」でも何でもなかったのだ。フォルクスワーゲンの排ガス不正事件は、ソフトウェアの不正操作によって排ガス試験での排ガス量を減少させたものだ。一般道路で走らせても排ガスは減少せず、窒素化合物の排気レベルは基準の40倍に達する。フォルクスワーゲンはもう何年も地球にやさしいイメージの広告を人々に植え付け、消費者を麻痺させてきた。今回の事件は、フォルクスワーゲンの80年近い歴史の中で最も深刻なイメージダウンである。フォルクスワーゲンは巨大な力を持ち、少なくともヨーロッパでは永遠に謝る必要がないように思っていた。同社は準国営企業として、長期に渡って監査機構の上位にあった。