「米国の利上げ時期を現時点で予想するのは難しいが、利上げはダモクレスの剣のように常に市場で懸念されている。しかし、実際にその影響はすでに消化されている。過度に懸念する必要はない--」。第8回米中戦略・経済対話に参加する中国財政部の楼継偉・部長は記者会見で、米国の利上げについて見解を述べた。
第8回中米戦略・経済対話、第7回中米人文交流ハイレベル協議は6日から北京で開催されている。楼部長は開幕式とテーマ会議「マクロ経済情勢と政策」の終了後に記者会見を開き、国内外の記者からの質問に答えた。
楼部長によると、会議で中米双方は世界と中米の経済情勢、マクロ政策、構造改革、国際経済・政策協調などをめぐって深く意見を交わした。また、楼部長は以下の3点を強調している。
一、中米を含め、世界経済は周期的なリスクに直面すると同時に、根深い構造的な問題もある。
世界金融危機の発生からすでに約8年が経過。世界のGDP年平均成長率は3.5%にとどまり、金融危機前の5年間を1.6ポイント下回っている。世界経済の回復が鈍い背景には、周期的な要因もあるが、世界範囲の潜在的な産出の低下、有効供給の不足、構造改革の遅れなど構造的な要因も大きく影響している。
米国は量的金融緩和政策の下、経済が力強い回復をみせ、複数の経済指標が改善している。しかし、構造調整は依然として十分とは言えず、投資の不足が目立ち、貿易と財政赤字は高水準にあり、長期的な経済成長の確保には課題も残っている。一方、中国の状況をみると、今年に入ってから経済運営が総じて安定しており、GDP成長、物価、雇用といった市場は想定の範疇に収まり、サービス業、消費、高付加価値産業、起業などで新たなハイライトも表れている。ただ、経済運営において従来から存在する矛盾は依然として解消されていない。