中国と米国の「史上最大の貿易摩擦」が中国経済に及ぼす影響は、実際には人々が想像するほど大きくない。
まず輸出をみると、追加関税は、中国の商品を米国市場から完全に締め出すわけではなく、価格アドバンテージを若干弱めるに過ぎない。低コストと高利益を追求する企業は必然的に、新たな競争力を培う他の方法を考える。言い換えると、米国が中国からの輸入商品340億米ドル相当に25%の追加関税を課すことは、中国の対象商品輸出額が「ゼロにリセット」されるわけではないため、全体の貿易額に及ぼす影響は限られる。
仮に「ゼロにリセット」されても、受け入れられないことではない。中国政府の公式統計によると、2017年の中米輸出入総額は約5837億米ドルで、うち中国の対米輸出額は4300億米ドル近くに上る。米国側の統計はこれより少し高く、輸出入総額が6359億7千万米ドル、中国からの輸入額が5千億米ドル余りとなっている。
これを踏まえると、340億米ドルは中国の対米輸出額の6-7%に当たり、天文学的な数字ではない。中国の昨年の輸出総額が2兆2億米ドル超だったことを考えれば、対米輸出額はその約5分の1に過ぎず、現在の追加関税措置によるショックは限定的と言える。