養老、教育、医療・健康などの需要が急増し、中国の内需けん引の「3つの馬車」になる見通しだ。業界関係者は、奨励策を適時打ち出し、高品質商品・サービスの供給を拡大し、関連産業チェーンを延ばし細分化するよう提案した。
養老産業が「急成長の前夜」を迎える
北京市朝陽区の李玉霞さんは最近、父のために公立老人ホームを探そうとしているが、1カ月たっても結果が出ていない。ある老人ホームでは、数百人が待機中だという。ある1級都市を取材したところ、老人ホームのこのような現象は普遍的であり、急増する需要と供給不足の矛盾が日増しに浮き彫りになっている。
中国老齢産業協会の張愷悌副会長は「大きな問題の裏には大きなチャンスが隠されている。適切な措置を講じることができれば、養老は経済発展の新たな動力になるだろう」と述べた。
国家統計局のデータによると、2017年末時点の中国の60歳以上の高齢者数は2億4100万人で、総人口の17.3%を占めていた。2050年頃には4億8700万に達し、34.9%を占める見通しだ。
複数の業界関係者は、伝統的な家庭での養老モデルは継続不可能であり、夫婦1組で4−6人の高齢者の世話をすることはできないと指摘した。特に中国の都市部・農村部の要介護高齢者数は4000万人以上に達し、家庭での介護は困難だ。『快楽老人報』の趙宝泉社長は「高齢化を迎えつつある第1陣の都市では、中産階級の消費能力が堅調で、消費意欲が強い。専門的な養老サービスを願っている」と判断した。
嗅覚の鋭い産業大手が、密かに養老産業で展開を始めている。日本最大の養老サービス企業のニチイ学館、フランス大手のORPEAなど有名な国際養老企業が、中国で老人ホームに投資している。泰康人寿、中国人寿などの保険会社による養老コミュニティが、運営段階に入っている。万科、華潤、恒大などの不動産大手が「養老不動産」プロジェクトを展開している。現時点では一部のプロジェクトが赤字状態だが、不動産大手の養老に取り組む決意に揺らぎはない。
しかし急成長を加速する上で、中国の養老産業は一連のボトルネックを解消しなければならない。これには産業発展が荒削りで、施設のベッド数と介護士が不足し、老人ホームの施設・サービス水準が低く、高齢者の生活と精神の需要が満たされないといった問題が含まれる。
北京師範大学中国社会管理研究院の謝瓊准教授は「中国の高齢者の現状と緊密に結びつけ、政策により自宅での介護を支持し、長期的な介護保険制度を構築し、養老サービス基準を規範化するといった各種措置を講じ、各集団の養老の需要を満たすことで、産業全体の健全な発展の加速を促進できる」と指摘した。