こうしたなか、中国政府による増値税率の大幅な引き下げに世界中の関心が集まっている。4月1日から増値税率は13%に引き下げられたが、これは昨年、平均輸入関税率が7.5%まで引き下げられて以来のことで、今後の貨物の輸入動向を決定づけるものとなった。輸入品価格の低下で各国が中国市場を取り込もうと躍起になっている。果物を例に挙げると、フィリピン産バナナ、ペルー産レッドグローブなど良質な果物が続々と中国に輸入されている。
関税と増値税の引き下げは、中国の企業にも消費者にも恩恵をもたらす。川上部門では輸出入企業などの原材料や商品の輸入コストが下がるほか、生産面でも電力やインターネット、交通など様々なコストが下がることで、企業負担が大幅に軽減される。企業の生産コストが低下することで商品価格も下がり、消費者にとってメリットになる。また、企業の利益にもつながり、投資を多く呼び込め生産も拡大するため、雇用が増加するなど好循環を生み出す。
こうした経済指標の上向きの背景にあるのは、中央政府による経済政策のテクニカルな調整だ。また、足元で中国の為替レートが安定的に推移しているほか、財政状況が改善していることも挙げられる。最新の統計によると、景気動向を示す電力指数、掘削機指数とも2ケタ成長を達成した。電力は国民経済の基盤となるもので、電力使用量の増加は工業生産の大幅な拡大を示し、掘削機指数の上昇もインフラ整備の持続的な推進を示している。