――潮目が変わったと言われましたが、以前の日本は「一帯一路」をどのように見ていたのでしょうか。最近はどのように変化しましたか。
進藤 日本では「一帯一路」加入議論が出てくる以前、すでに09年頃から東アジア地域統合の官民共同国際会議で、アジアインフラ投資銀行(AIIB)設立の提案が中国側代表から出ており、私は日本もそれに協力すべきだと主張し続けていました。しかし外務省の訓令が下りず、「一帯一路」構想にも日本がためらっているうちに潮目が変わり、17年5月に二階俊博さんが400人ほどの経済関係者を率い、北京で行われた第1回「一帯一路」国際協力サミットフォーラムに参加したことで、日本も加入すべきという動きが国内、特に日本の自民党の知中派から出てきたのです。こうした政府や与党内における「中国を大切にしていくべきだ。日中関係なくして日本の未来はない」という考えを持つ政治家や官僚は今、日本に最も必要な要素だと私は強調したいのです。
もう一つは経済関係者の動きです。日本が経済発展に行き詰まっている今、欧米市場だけではやっていけません。中国の人口は約14億で、市場も巨大です。中国をマーケットとして捉え、そして中国と東南アジア諸国連合(ASEAN)とインド、モンゴルを加えてアジアで新しい貿易体制を作り上げていくという気持ちが経済界に生まれ、それが後押しをしているのだと思います。
にもかかわらず、日本政府やメディアは特に最近「一帯一路」に対して及び腰です。ですからまずは第三国市場協力に注力すべきだと思います。例えば日本の経済進出が進んでいて政治的に安定したタイで日中第三国市場協力のカテゴリーを作るといった、アジアでの協力を出発点にしようというのが、安倍首相が掲げる第三国市場協力のコンセプトであり、「一帯一路」参画を進めていく第一歩だと思います。今後の展開に期待をしています。