中共中央及び国務院が印刷・配布した「長江デルタ一体化発展計画綱要」(以下「綱要」)が1日、公表された。綱要は同地域を全面的な対外開放の新たな高地とする。複数の学者は、この措置は長江デルタの発展を促し、中国全体の開放水準をさらに押し上げるとした。
世界の投資を集める「強い磁極」に
長江デルタの人口は約2億2000万人で、その経済規模は全国の25%を占める。近年すでに世界の投資家の中国事業展開の重点になっている。公式統計データによると、江蘇省だけでも今年上半期の実行ベース外資導入額が152億5000万ドルにのぼり、同期の中国全体の21%以上を占めた。
また長江デルタの外資導入の質も向上している。バイオ医薬、スマート製造、高級ソフト・情報サービス業、省エネ・環境保護産業などのハイテク産業に流入する外資の拡大が続き、現地で本部を建設するグローバル企業も増えている。例えば上海市は今年8月末までにグローバル企業の地域本部を計701社誘致しており、うちアジア太平洋本部が106社となっている。
これを踏まえた上で、中国は世界の投資家に対する長江デルタの魅力を引き続き拡大しようとしている。綱要は、製造業・サービス業・農業の対外開放をさらに拡大するとした。製造業については、自動車・航空機・船舶などの業界への参入ハードルを引き下げ、世界トップ500社及びリーティングカンパニーを積極的に誘致する。サービス業については、金融市場の対外開放を加速する。農業については、国内で不足する農産物の輸入を適度に拡大し、世界の現代農業の先進生産技術及び経営・管理方法を積極的に導入する。
政府はまた、上海・南京・杭州・合肥などの経済発展都市により、国際機関及び本部経済の高水準集約エリアを構築するとした。
中国商務部国際貿易経済協力研究院地域経済協力研究センターの張建平主任は、「中国が長江デルタの外資誘致を促すのは、同地域の改革開放の意識と市場の意識が高く、ビジネス環境が中国トップレベルだからだ。また産業の基礎が整っており、人材が十分に確保されているため、外資導入の良好な条件が備わっている。これは長江デルタの経済力をさらに強化するだけでなく、全国の外資導入の高品質発展をけん引する」と話した。
浙江大学経済学院長、長江デルタ一体化研究センター主任の黄先海氏も、「経済規模で計算すると、長江デルタは世界5位の経済体であり、中国ひいては世界で最も発展の潜在力が大きな地域の一つだ。外資導入の確かな基礎があり、水準が高く空間も大きい。開放協力を通じ現地の外資導入を強化することで、中国全体の外資導入水準の向上に対してけん引力・影響力を発揮する」と述べた。