「曹操の墓」が発見されてから中国では、本物か贋物かといった様々な議論が盛んに繰り広げられている。こうした「曹操の墓」に対する高い関心が、隣国の日本にも飛び火したようだ。
NHKや朝日新聞、毎日新聞などの日本のメディアは「曹操の墓」発掘の詳しい経過や激しい真偽の論争などを大々的に取り上げ、日本人たちの間でも「曹操の墓」についての討論が巻き起こっている。
日本最大のネット掲示板2ちゃんねるの「曹操の墓」に関する掲示板では、「テレビで『曹操の墓』発見のニュースを見て非常に興奮した。まず一杯飲んで祝おう!」「いつ劉備や孫権の墓も発見されるのだろうか」「曹操は本当に小柄な男性だったのか」「曹操の墓がこんなに簡素なものだとは思わなかった。中国に行ってこの目で見てみたい」と非常に活気を帯びている。
今世紀の大発見と書き込むネット利用者がいる一方で、「もっと有力な証拠を出してほしい」「もし贋物だったら非常に残念」「中国は曹操の墓と断定するのをあせりすぎていないか」という声も少なくない。
こうした日本人の熱を帯びた反応は、日本人の中に「三国志」ファンたちが多くいるためだ。日本では毎年、「三国志」の事実の考証や謎の解明、名言の収録、地図、辞典など、「三国志」関連の書籍が多く出版され、ゲームや漫画も若者に人気がある。大学では「三国志」研究会があり、各大手企業の社長も、「三国志」の物語から経営術や処世術を学んでいるそうだ。松下電器の創始者である松下幸之助氏もかつて「『三国志」に登場する人物の知恵は私の最もいい先生」だと語っている。
また中国文化部と国家文物局が去年日本で開催した「大三国志展」には100万人以上が訪れ、「最も読む価値のある本」というアンケートでは、「三国志」が処世術を学ぶことができるという理由で2年連続でトップ3にランクインした。
日本人の「三国志」への理解は驚くほど深い。日本に長年暮らしている陳さんは「もし『三国志』に詳しくないなら、日本人と話をする時に絶対それを話題にしないほうがいいです。そうでなければしつこくいろいろ聞かれますから。もし『三国志』に詳しければ、『三国志』ファンに尊敬されます」と話す。
実は中国人が愛読する「三国演義」と日本人が愛読する「三国志」とはかなり違う。「三国演義」では、「劉備を称え、曹操を貶す」という傾向に対し、吉川英治が書いた「三国志」では曹操が英雄として描かれている。中国で仕事をしている中古さんは「中国の歴史では政権の更迭が非常に多いので、日本人は誰が正統な皇室なのかを気にしません。日本人は曹操は劉備や孫権と同じように英雄で、劉備よりも率直な人だと考えています。曹操は物語を牽引する重要な人物です」と言う。
ますます激しくなっている「曹操の墓」の真偽論争は、日本人に藤村新一氏の考古学スキャンダルを思い起こさせたかもしれない。「曹操の墓」に関しては些細なことでも中国国内だけでなく全世界に報道されて世界中の注目を浴びるため、慎重に判断しなければならない。
「チャイナネット」 2010年1月8日