馮驥才:春節時の帰省ラッシュは文化現象

japanese.china.org.cn  |  2010-01-22

馮驥才:春節時の帰省ラッシュは文化現象。近ごろ、春節(旧正月)が間近に迫っていることを知らせるものは「腊八粥」(旧暦12月8日に食べる粥)の香りではなく、メディアが伝えるすさまじい勢いの「春運」(春節時の帰省ラッシュ)だ。旧暦12月に入ると、「春運」はハリケーンのごとく到来し、たちまち猛威をふるって、その勢いはますます激しくなってゆく。暮れの最後の数日は、山を押しのけ海を覆す勢いとなり、阻止することは不可能となる…

タグ:春節

発信時間:2010-01-22 11:23:50 | チャイナネット | 編集者にメールを送る

 

 

近ごろ、春節(旧正月)が間近に迫っていることを知らせるものは「腊八粥」(旧暦12月8日に食べる粥)の香りではなく、メディアが伝えるすさまじい勢いの「春運」(春節時の帰省ラッシュ)だ。旧暦12月に入ると、「春運」はハリケーンのごとく到来し、たちまち猛威をふるって、その勢いはますます激しくなってゆく。暮れの最後の数日は、山を押しのけ海を覆す勢いとなり、阻止することは不可能となる。私はこの時期になるといつも、このように一年に一度、億を数える人々があたふたと帰省して年を越す光景は中国のほかにあるだろうか、と考える。

私たちは「春運」を旅客輸送の非常時期だとみなし、これは中国の社会発展が現段階に至って無数の農民が都市に出稼ぎに来るようになったことによって引き起こされた特殊な交通ラッシュだと考えている。「春運」の任務はどうにかしてこの旅客輸送の重荷を取り除くことである。しかし、文化的な目で見れば、「春運」が行っていることは外地で働く無数の人々をそれぞれの故郷へと送り、中国人の数千年来の夢――「一家が集まる」をかなえるものであるといえる。

私は数年前に駅で見かけた光景を今でも忘れることができない。旧暦12月29日のことであったと思うが、背が低くて痩せた中年の男性が列車に乗ろうと急いでやって来た。列車は出発するところで、扉はすでに閉まっていた。男性は大晦日までに帰れなくなってしまうと思ったのだろう。慌てて列車の窓によじ登った。通常だったら、事故が起きるのを恐れて、プラットホーム上の係員は彼を引っ張って降ろし、列車の中の人々も彼を外に押し出そうとするところだろう。しかしこのときは違った。列車の中の人々は彼を列車の中に入れようと引っ張り、ホーム上の係員も彼を列車の中に押し込んだ。そして、列車の中の人も外の人もみな、その中年の男性といっしょにうれしそうに笑い、列車はみんなの笑顔を乗せて走り去った。人々はみな、「家に帰って年を越したい」という同じ思いを抱いているのである。

したがって、「春運」の時期に人で溢れかえる空港や駅、切符を求める長蛇の列を見ると、年越し文化が中国人の骨身にこんなにも深くしみていることに感動を覚える。「春運」の溢れかえる人の波はまさに年越し文化の精神の核心「一家団欒」ではないのだろうか。一年に一度、こんなにも感情が高ぶっている人々を移動させることができる文化は他にあるだろうか。故郷と家族を浮き彫りにすることができるこんなにも強大な親和力は他にあるだろうか。

「春運」は、大量の農民が都市に出稼ぎに来るようになったことによって引き起こされたものであることは間違いない。ただし、ここ20年で出現したもっとも独特な文化現象でもある。民間の文化は生活の文化であり、それは往々にして生活の形態から出現するのであって純文化の形態から出現するのではないため、「春運」の文化的内包をいっぺんに理解することは難しい。

 

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