8日に行われた院士大会において、レアアースの研究を50年間にわたって行ってきた中国科学院長春応用化学研究所の倪嘉纉氏が「レアアース、塩湖資源の総合利用における問題と対策」と題したスピーチを行った。倪氏はスピーチの中で、レアアースに関する研究を強め、ハイテクノロジーをできるだけ早く把握して「資源はあるが利益がない」というジレンマから脱出するべきだと呼びかけた。「科技日報」が10日に伝えた。
大規模な採掘が行われる以前は、中国のレアアース埋蔵量は世界の埋蔵量の85%を占めていた。レアアースの戦略的意義および埋蔵量のメリットから、障ナ小平氏はかつて、「中東には石油があり、中国にはレアアースがある」と語った。しかし、数十年の発展を経た現在、中国はこの資源的メリットを経済的メリットに転換することがまだできていない。
2005年と2006年、院士による国務院への2度にわたる上書と、温家宝総理の迅速な指示の結果、レアアースの生産が抑制された。しかし、中国科学院・徐光憲院士の推算によると、1995年から2005年までの10年間で、中国のレアアース輸出による損失は少なくとも数十億ドルに達したという。さらに深刻な教訓となったのは、日本や韓国がこの間に中国から安価で高品質のレアアースを20年間分購入・貯蔵し、国際的なレアアースの価格決定権を把握したことだ。
倪嘉纉氏は、「政策的な原因だけでなく、ハイテクの不足も私たちの発言権がない原因となっている」と述べる。
中国はレアアース資源大国ではあるが、レアアース・ハイテク製品の生産大国ではない。レアアースのハイテク製品と特許の多くは、国外の少数の企業が把握しており、彼らはこれらの技術を重要な機密としている。一方中国はレアアースのハイテク製品が少なく、長年にわたってレアアース鉱物、混合レアアースなどの低レベル製品を低価格で輸出し、高度加工されたレアアース製品を高価格で輸入してきた。
「人民網日本語版」2010年6月10日