今では日本にすでにクリスマスが文化として定着してからかなりの年月が経過していますので、すでにミクロレベルでの企業の模倣という概念は忘却され初めていることと思いますし、そもそも、クリスマスキャンペーンは知的財産として登録されたものではありませんから、模倣という「言葉」に抵抗がある方も多いかもしれません。しかし、その商行為が成功するビジネスモデルだと見出した上で、自らが創造開発したものでなく、別の企業体からの商行為を真似たことが、最初の「企業によるクリスマスサービス事業の輸入」だったという事実から捉えれば、それはサービスの模倣であることは事実です。そして、模倣の後に、日本企業はそれらを「カスタマイズ・アップデート」してきた歴史があるわけです。
ところで、模倣(imitation)という語彙には、ミクロレベルでの要素が強く反映されたものでありますから、クリスマスキャンペーンのような1つの産業をはるかに超えた商行為(もはや文化に近い)の場合は、よりマクロレベルの要素として、ビジネスノウハウの伝播流布(knowledge spillover)と把握したほうが適しているかもしれません。しかし、企業ごとというミクロレベルでの分析視角をもてば、「模倣」という言葉がそれに同義でありますし、外的要因だけではなくマネジメントできる要素になると思います。
さて、ここからが本題です。産業・企業競争力一般化への議論とそこから見える日本の産業・企業への問題提起となります。・・・・・
(パート2へ続く)
(中川幸司 アジア経営戦略研究所上席コンサルティング研究員)
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2010年12月8日