劉軍紅
ギリシャの財政危機は日本への警鐘である。日本の財務省が発表したデータによると、2010年3月31日時点で、国債と借入金を含む「国の借金」は882兆9235億円、1人当たり平均約693万円に達し、過去最大となった。国際通貨基金(IMF)のデータによると、日本政府の借金は対GDP比で約3.19倍で、米国の84.7%とイギリスの68.7%を大きく上回り、政府の信用に直接影響している。ギリシャの財政危機の影響拡大を考慮し、日本の政策当局は国債の発行を抑制し、財政悪化を食い止め、国が財政危機に陥るのを避けるよう主張している。
日本政府の高額の借金は、1990年代の「バブル対策」で発生したものだ。1990年に日本のバブルは崩壊し、長期にわたり景気後退を続けている。景気を回復させるため、日本政府はケインズ主義の大規模な景気対策を続けて打ち出し、政府のニーズを拡大させた。しかし日本のバブル対策は景気回復を刺激できなかったどころか、かえって政府の借金を蓄積し、2001年には国債信用格付けが引き下げられた。経済協力開発機構(OECD)とIMFなども続けて日本政府の借金に警告を出している。
日本の高額の借金が財政危機を引き起こすかどうかは、日本の債務と経済構造を見る必要がある。日本の経済モデルは典型的な政府主導型モデルで、その他の資本主義国と異なり、日本政府の借金は非常に多いが政府の資産規模も大きく、その上収益も多い。日本政府の統計によると、2008年末、日本の社会保障基金を含む資産総額の同期政府負債を差し引いた額は黒字となっている。2009年末の日本政府の資産・負債残高表にはマイナスが現れる見通しだが、その規模はそれほど大きくない。また、日本の国債の国際化レベルは比較的低く、国債の95%を国内機関と個人が保有し、市場恐慌に対する反応は鈍く、政府が債務を返済しないというリスクは発生しにくい。
以上の2つのことから、日本でギリシャのような財政危機は発生しないと考えられる。