6月2日に辞任を表明した鳩山首相の後任として、菅直人元副総理兼財務相(63)が4日、民主党代表に選ばれ、同日開かれた衆参両院議院総会で第94代、61人目の首相に選出された。揺れ動く日本政界や首相の辞任問題について、日本問題を専門に研究する北京工業大学人文社会科学学院の張荊教授にうかがった。
▽鳩山首相辞任 その背後に潜む原因
記者:鳩山首相の辞任をどう見るか。
張氏:「悲壮な辞任」と呼んでいるのだが、辞任表明の場には悲壮感が漂っていた。6月2日午前、民主党の両院議員総会の壇上に立った鳩山首相に会場からは割れんばかりの拍手が送られ、首相は目頭を熱くした。演説では、民主党が昨年9月の政権交代以来、日本政界に風穴をあけたことを強調し、国民のための予算成立を成し遂げたことを誇りに思っていると語った。その後、調子は一転して、民主党の努力が国民の理解を得られなかったことを認め、「私の不徳の致すところ」とした。その原因として普天間基地の移設問題と政治とカネの問題の2点を挙げた。
20分間にわたる鳩山首相の演説にはわびしさ、後ろめたさ、やるせなさが溢れていた。最後に、この国難とも言えるときに、手をたずさえて新しい時代をつかみとっていこうではないかと民主党議員に呼びかけた。演説を終えると、会場には拍手が再び鳴り響いた。
記者:普天間基地の移設問題、政治とカネの問題が辞任の主な原因だと考えるか。
張氏:辞任の主な原因というよりは、辞任の引き金となったというべきだろう。その背景にある深刻な原因として、鳩山首相が就任以来、国民への公約をことごとく破り、民主党と内閣に対する支持率の急速な低下を招いたことによって、今年の7月11日に行われる参議院選挙の勝利と民主党政権の基盤を危ぶませたことが挙げられる。普天間基地の移設問題も「公約破り」である。もちろんここには韓国海軍哨戒艦「天安」沈没事件が北東アジア情勢に緊張をもたらした要因も含まれているが、「公約破り」は事実である。「クリーンな政治」の公約は鳩山首相が政権交代を実現する推進力となったが、元秘書の偽装献金問題が浮上し、自身は検察庁の起訴を免れたものの、やはり国民を失望させる結果となった。こうした一連の「公約破り」が鳩山首相と鳩山内閣の実行力に対する国民の不信を招き、支持率の急降下につながった。そのため、代表と首相を更迭しなければ、7月の参議院選挙で民主党が敗北を帰すことは必至だった。
▽民主党の執政力に対する国民の信頼
記者:民主党の執政力を国民はすでに信頼していないと考えてもいいか。
張氏:今の時点でそのように言うことはできない。私が接したことのある日本の友人や学者は、「国民の生活が第一」「国会議員の世襲を禁止」「政治献金の規制」など民主党の執政理念に対して肯定的な態度を取っている。改革には時間が必要だと強調しており、民主党の執政力は年度予算案が可決されてから判断するべきだと見ているようだ。鳩山・小沢内閣自体に決断力が不足しており、問題があったとしている。実際に菅首相が就任して2日で、民主党の支持率は5月末と比べ15.6ポイント上昇し、36.1%に達している。