▽菅政権下の中日関係と日米関係
記者:菅政権の誕生後、中日関係と日米関係の行方は。
張氏:菅新首相は中日関係を重視していると、中国の官僚や学者が口を揃えて称賛している。菅氏は1977年、30歳の頃に日本の政治家代表団と一緒に中国を訪問した。1984年には日本青年訪中団3000人のうちの1人として中国を訪れ胡錦涛現主席と面会した。また小泉政権の頃には靖国参拝を一貫して批判していた。2002年5月に訪中した際には南京大虐殺記念館を見学し、侵略の歴史事実を認めた。人民元切り上げを迫ることに反対するなど、菅首相は鳩山前首相より中国に友好的だとの見方が中国では一般的になっている。
菅氏の首相就任は政権交代の結果ではないため、菅内閣は鳩山内閣の対中政策を継続すると思われる。ただ現在、国際関係に多くの精力を注ぐ余裕は菅首相にない。当面の急務は党内と国内の問題を解決し、参議院選挙に全力を注ぐことだ。中米関係については、鳩山前首相のように公約をしなかったため、菅首相は普天間飛行場の移設に関する『日米共同声明』を承諾するよう地方官僚を直ちに説得すると見られる。中日関係については、参議院選挙が終わるまでは大きな動きは見られず、参院選が終われば、菅首相の対中・対米政策会が鳩山政権とは異なる顔を次第に見せるだろう。鳩山内閣の経験を借りて米国寄りの政策を行うと予想される。
記者:菅政権は短命で終わるか。
張氏:難しいところだが、民主党政権には不安定要素が多く存在する。そのため、参議院選挙までは選挙に向かって団結を保つだろうが、選挙後は矛盾が次第に浮き彫りとなり、ひいては党内の分裂を招く恐れさえある。まずは党内における意見の食い違いが日増しに顕著となり、派閥が生まれる。次に「クリーンな政治」という民主党のイメージを挽回しようと、菅氏は小沢氏と決裂する姿勢をとったが、もし本当に決裂すれば、民主党の最大派閥を率いる小沢氏もその性格から言って手をこまねくはずはない。民主党政権が危うくなれば、たとえ対中関係を重視していたとしても具体的政策の実施は難しいだろう。
張荊
中国社会科学院社会学研究所で助手を務める。1993年、日本に渡り客員学者を務め、その後、一橋大学法学研究科に入学、2002年に法学博士を取得する。2004年初めに帰国し、北京工業大学人文社会科学学部で教鞭を取る。現在は社会科学学部の副主任。教授。
「人民網日本語版」2010年6月8日