中国人民銀行(中央銀行)はこのほど、人民元レート形成メカニズムの改革を一層推進し、人民元相場の柔軟性を高めるとの決定を下した。日本経済界の関係者はこの決定を歓迎している。
日本の野田佳彦財務大臣は21日、中国に対して「人民元相場の柔軟性を高めるとの決定を歓迎し、この措置が中国経済やアジア経済、ひいては世界経済の成長を促進することにつながるよう期待する」とのメッセージを発した。野田大臣が先に述べたところによると、人民元レートの問題は中国が100%独自に決定すべきものであり、日本が直接圧力を加えることはないという。
日本の直嶋正行経済産業大臣も同じような見方を示し、中国の今回の措置は世界経済全体の発展にプラスになると話す。
中国は現在、米国を抜いて日本の最大の貿易相手国となり、中日間貿易は基本的にバランスが取れている。財務省の官僚によると、人民元相場の弾力性が高まることが、日中間貿易に目立った影響を及ぼすことはないという。
東京財団の関山健研究員によると、中国の決定は自国の必要性に基づくもので、今回人民元相場の柔軟性を高めると発表したことは、できるだけ早期に経済の関連リスクを解決し、軽減させることがねらいだという。
関山研究員によると、レートの変動が経済全体に与える影響は非常に複雑だ。1980年代後期の日本の経験を振り返ると、人民元の上昇は短期的にみれば輸出にマイナス、輸入にプラスで、消費者は輸入商品の価格低下による恩恵を被ることになる。長期的にみれば産業の構造調整を促進し、技術水準と競争力を向上することにつながる。
また関山研究員によると、2005年7月から08年7月にかけての人民元の上昇は、日本の対中輸入および在中国日本企業の第三国への輸出にそれほど大きな影響を与えなかった。こうした経緯を踏まえれば、中国がこのたび人民元レート形成メカニズム改革の推進を決定したことが、日本経済に与える影響は大きくないと予想される。
「人民網日本語版」2010年6月22日