――さっき使命を担っていると言われましたが、中日間の摩擦や不調和音を耳にした時はどんな感じですか。
摩擦などはごく普通のことです。仲のいい友人との間にも摩擦は起こりますが、友好の気持さえあればどんな困難も解決できると思います。
――今は週末しか授業がないようですが、今後は平日にも授業をする可能性はありますか。天津以外の都市に学校を設立する予定はありますか。
平日に授業を設ける可能性はほとんどありません。それは学生たちは普段、月曜日から金曜日まで仕事や視覚障害者の学校に通っており、週末しか学校に来られないためです。
地方の人たちには通信教育を実施しています。パソコンの進歩でスカイプによる授業も可能で、両親の世話をするために帰国した場合は、週末に日本でスカイプを使い中国と同じように授業をすることができます。
乾杯する青木陽子さん(中)と宮本大使(右)
――学生たちからはどう評価されていますか。
学生たちからは、変わった先生と言われています。宴会やお酒、歌を歌うのが好きで、普通の中国人の先生はまじめですが、この先生は気楽だと。それに友人や兄弟と話しているようで、外国人と話している感じもしないようです。
――ある報道では、生徒を教える時に美しい姿勢を重視しているとありましたが、それはどういう考えからですか。
目の不自由な人たちが学校に通っている時は、家族も見慣れているし、姿勢が悪くても平気です。しかし目の不自由な人に接したことがない普通の人が見た場合、変な動作だと思いますし、不快な印象も与えます。ですからまず自分を変え、自分の動きを変えなければなりません。動作はちょっとした努力で変えられます。ですから出来るだけ姿勢の悪い学生たちを食事に連れて行き、食事の時はどうすればいいのか、箸はどう持てばいいのか教えます。
このようなことを学校の教師も注意しないし、家族も仕方がないと思いあきらめています。また他の人たちも、機嫌を損ねてはいけないと思い注意しません。しかし私も目が不自由なことから、こうした注意も受け入れられやすいのです。
――中国に来てから十数年が経ちますが、中国の身体障害者事業で、青木さんが一番発展していると感じているのはどんな点でしょうか。
一番発展しているのは視覚障害者の歩道です。物理的な設備は他の国とあまり変わりません。けれども人々の考えや意識はまだ望ましいものではなく、メディアにはもっと身体障害者の状況や生活を多く取り上げてほしい。それに身体障害者が普通の人たちと触れ合う機会もまだ少なく、頻繁に交流することができれば、互いの理解も進みます。要するに物理的な障害は解決しやすく、人々の考えや心理的な障害は取り除きにくいのです。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2010年7月20日