「ソフト・パワー」は積み重ねによるもの
人々が突然に思い出す俳句を書き残すため、テーブルやつくえが用意されている
晨報:詩歌はその国の言語の文脈に根ざしているため、一般的に国外で理解を得るのは難しいとされていますが、なぜ、日本の俳句はこれほど国際的なブームを呼ぶことができたのでしょうか?
王錦思氏:俳句が世界で受け入れられているのは、これまでの積み重ねによるものであることは間違いありません。これまで多くの人が現代日本を「エコノミック・アニマル」と揶揄してきましたが、これは日本のすべてを表すものではありません。日本人は文化面、精神面で多くの努力を重ね、その結果を残してきたことを我々は無視してはいけません。
晨報:その「積み重ね」とは、どのあたりに現れているのでしょうか?
王錦思氏:まず、俳句愛好者の素質が優れています。日本では1970年から毎年、全国学生俳句大会が行われており、毎回、全国から30万句以上の応募作品が寄せられるそうです。日本の各全国紙はどれも俳句投稿欄を設けており、毎日新しい作品が掲載されています。それに対し、我々中国人できちんとした詩歌を詠める人はどれくらいいるでしょう?次に、伝統的な形式をよく継承していることです。俳句が発展し続けることができたのは、「吟道(詩吟)」と密接な関係があります。日本では「華道」や「茶道」と同じく、大きな影響を受けています。それと比べると、我々中国人で、伝統的な詩歌を朗詠する人は、どれくらいいるでしょう?一部の日本人に「伝統的な詩歌文芸は、日本にはあるが、中国ではすでに失われている」と思われるのも無理はないのです。