長年にわたり様々な自然災害の襲撃を受けるという厳しい状況の中、日本政府は次第に、自然災害の予防・警戒態勢を強化することが、自然災害に対応し、民衆の生命・財産の損失を減少させる上で非常に効果的な方法だと認識するようになった。防災システムと対策が完備しているため、被害を受けたときの損失と死傷者は比較的少ない。
自然災害はすでに中国経済の発展を制約する重大な要素、正常な経済秩序や社会秩序を混乱させる主要な要素ともなっている。様々な自然災害による直接的経済損失は、50年代は平均して年間約480億元、60年代は約570億元、70年代590億元、80年代600億元、90年代前半5年間は平均約1190億元、00年前後には約2300億元に達した。90年代の年平均被災者数は約3億8000人と、総人口の3分の1を占めた。
経済損失の絶対数であれ、総対数であれ、中国はいずれも世界で災害による経済損失が深刻な国に1つである。中国での自然災害の多発は人為的な減災・救済能力の弱体と無関係ではない、と見るべきだろう。昔から、中国は環境や資源保護意識に欠けていた。大躍進や文革の時代、食糧が重要だと強調して大自然に戦いを挑み、森林を破壊し、荒れ地を開墾し、田畑を造成し、さらに乱伐し、ほしいままに放牧し開発したため、生態環境は全般的に悪化し続けていった。中国の年平均土石流量は世界平均の1.4倍、自然環境の破壊程度は3-3.5倍、農林牧畜業や鉱業など十二大業種での成長コストは世界平均の1.25倍、日本に比べるとさらに高い。
ここから、中国人は災害の損失が日本より高いという危機をしっかりと認識し、今後は土地が広く、資源が豊かで人口が多いという盲目的、楽観的な国情に浸ることがあってはならない。苦しみが過ぎた後にその苦しみを思い、教訓を汲み取り、経験を総括し、自然災害が発生する地質的問題を解決することで、後世に幸福をもたらさなければならない。その時間は迫っている。(王錦思)
「北京週報日本語版」2010年8月23日