また、大阪万博と日本の経済発展の経験を振り返り、上海万博と中国の経済発展について、永井隆裕館長はこう述べた。「今からちょうど40年前に大阪万博が開催された。その時は日本が一番高度成長していた時期で、万博のおかげで成長が成長を呼び、技術が技術を呼ぶというような形で相乗効果が現れ、経済発展の基礎が築かれた。上海万博でもいろいろな技術や文化的な展示をしているので、同じような効果が生まれると思う。ただ、大阪万博開催の際には日本や世界は余り気付いていなかったが、経済成長のマイナスの面、つまり公害問題や地球環境問題も現れ始めた。大阪は万博開催の前後からそうした経験をし、大気汚染や水質汚濁などいろいろな公害問題が出てきた。そして、大阪は全国に先駆けて、有害物質等を規制する条例を制定し、産学官が協力して公害対策、環境問題対策の技術を磨き、世界でも先端をいくような環境技術に磨き上げた。中国は今、高度経済成長が続く国であり、上海万博を開催しており、時代は違うが、これだけ経済成長していればマイナス部分も出てくるはず。昔、日本も10%近い経済成長率で発展してきたが、持続的に、永久的に安定成長するためには、経済一辺倒ではなく、やはり自然を守り、水や自然、生活環境もよくしながら経済も良くしていかなければならない。」
高度経済成長まっただ中の中国で、このような大阪館の出展内容は関心を持ってもらえるのだろうか。本誌記者が何人かの観光客に取材したところ、多くの人が大きな興味を示していた。ある女子大学生は、「大阪館では主として大阪の水資源利用を紹介している。大阪市と上海市は友好都市であり、水資源利用の面でお互いに交流を深めることができると思っている。中国は水不足の国であり、もし水資源を十分に利用できれば、非常に役に立つだろう」と語った。また、ある上海市民は、「大阪は水都市であり、水の処理方法の改良・進化に対して極めて大きな貢献をした。私は水処理に興味をもっている。現在、私たちは水の足りない社会で暮らしており、地球資源・水資源を保護するために、節水方法を研究している。大阪の経験はお手本になる」と語った。
「豊臣期大坂図屏風」の複製版
貨幣「天正長大判」の復刻版
環境先進技術のほかに、大阪館では、中国人の誰もが知るといわれる傑作絵巻「清明上河図」と同様に、16世紀末頃の昔の水辺で賑わう大阪の生活風景を描いた「豊臣期大坂図屏風」の鮮やかな完全複製版、屏風に描かれた時代に流通していた貨幣「天正長大判」の復刻版、大阪城天守閣の大屋根にある金色に輝く実物大の鯱のレプリカ、観光・グルメ・アミューズメントから関西の特徴を紹介する映像なども展示され、大阪の魅力を来館者に伝えている。(写真はいずれも繆暁陽記者が撮影)
「北京週報」 2010年8月26日