ここ近年来、日本と韓国の一部の人物は所謂「中国の影響払拭化」即ち中国の影響を取り除く事を提唱し、中華文化が対東アジア地域に与えた影響を否定しようとしている。例えば、日本の文化は中国とは関係なく、日本は「海洋文化」であり中国は「大陸文化」であるという日本の学者がいる。更には日本歴史の古さを証明する為に虚偽の話をする事をいとわない学者もいる。韓国でも一部の学者が「黄河文明の祖先は実際のところは韓民族である」という観点を出してきている。これらの傾向に我々は注意すべきであり、歴史の事実を尊重するという基本のもとで、歴史上で中華文化がどのように日本、韓国等の東アジアの国に影響を与えたかという問題を明らかにしていく。
韓国の諺文(オンモン)は中国漢字の深い影響を受けている
中華文化の朝鮮半島、日本列島へ伝播した四つの径路
事実として古代の東アジアが高度の農業文明を築いた事は、中華文化の伝播とその影響があった事と切り離す事はできない。その地勢的状況から言って、中国、日本、韓国等は「東アジア文化圏」に属しており、これはまた「漢字文化圏」或いは「儒学文化圏」とも言う事ができる。中にはより通俗的な「箸の文化圏」と言う人もいる。では中華文化はどのように朝鮮半島と日本列島に伝播し広がり、これらの国の社会文化の発展を促し、輝かしい東アジアの文明を共同して作り上げたのだろうか。
歴史を見ると中華文化の朝鮮半島、日本列島への伝播には主に四つの径路と方式があった。
第一は移民である。古代期、中国と朝鮮半島は往来が便利であり、日本列島に行くにも朝鮮半島経由で海を渡るか、東シナ海を越えて行く事が可能だった。そのため中国からの移民が早い時期から朝鮮半島と日本列島に達していた。
伝説によると、紀元前11世紀、周の武王の時代には箕子が多くの人間を連れて朝鮮に行った。秦漢期には戦乱を避ける目的で更に多くの中国人が朝鮮に逃げていった。漢代初期には衛満が一族を率いて朝鮮に赴いて王となった。