松本さん(男性、24歳)は食品開発に従事する中小企業に勤めている。仕事の内容には満足しているが、残業が多く、1日14時間労働や休日出勤も当たり前だという。今まで頑張ってきたが、父母の勧めもあって、今年7月に辞表を提出した。
その時社長は、「うちみたいないい会社を辞めたら、どこに行っても勤まらないよ」と述べたという。松本さんは「年輩の人たちには、転職や辞職といった概念がとても薄いのです。仕事が楽しくなくても、生涯をその会社に捧げるのが当たり前のようです」と述べている。
古い世代の人らは今の若者を「夢や目標を持たず、男気に欠ける」と評価する。だが、統計データが表す状況はともかくとして、今の若い男性にはある意味独特な魅力がある。2006年「日経ビジネスオンライン」の連載コラム「U35男子マーケティング図鑑」に、コラムリストの深澤真紀氏による「恋愛やセックスに欲のない今どきの男子」が紹介された(そうした男性はコラムの題名である「草食男子」と呼ばれるようになり流行語となった)。深澤真紀氏は「一世代前の男性であれば、物欲、性欲、金銭欲、出世欲にあふれていました。でも今の若い男性はそれらに対してとても淡々としています。彼らは彼らの価値観を見出だそうとしているのかもしれません」と述べている。
日本の「草食男子」は、旧来的な男性像に当たらないという意味で、よく米国の「メトロセクシャル」と同一化されて考えられがちである。メトロセクシャル男子は外見やファッションに強い美意識を持ち、フランネルのシャツを愛し、細身のパンツを履きこなす(時には新しいシャツをレトロモダン風に変える)。だが「草食男子」はそうしたファッションや生活様式だけを反映した言葉ではなく、日本の社会全体の動きを反映する言葉になっている。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2010年12月1日