1.不動産
Q:中国のGDPに対する不動産の寄与率が高すぎるため、中国の経済成長は健全ではない考える専門家もいますが、これについてどう考えますか。中国の不動産は今の中国経済ではどんな位置づけでしょうか。日本の経験を踏まえて、中国の不動産のこれからの発展を予測していただけませんか。
A:現在の中国経済における不動産のウェイトが、日本の高度成長期と比べても更に大きいのは事実だと思います。ただ現在の中国では、住宅実需や投機需要を含め、不動産需要が非常に強いのではないでしょうか。日本の中国専門家の間では、現在の中国の不動産市場の状況は、1980年代後半のバブル期よりも、1970年代の不動産開発ブーム時に近いと見る人が多いです。なぜならば、不動産価格の値上がりの背景には、金融現象だけではなく需要の強さがあるからです。東京や香港と比べても、北京や上海の地価はまだまだ上昇する余地はあると考える人も多いです。短期的に調整はあるでしょうが、中国の経済成長につれて、長期的には上昇トレンドが続くのではないでしょうか。日本の経験からも急上昇急降下は、経済や社会の安定を損ねます。地価の上昇スピードを経済成長のスピードと整合的にすることが重要だと考えます。
2.日系企業
Q:中国政府はこの間、これまで国内企業にだけ課していた「都市維持建設税」と「教育費付加」について、12月から外資系企業も徴収の対象にすると通知しました。これにより中国国内のすべての国内外企業の税制度が統一され、外資が「超内国民待遇」を受けてきた時代は終わりを迎えますが、これは日系企業の中国市場からの大規模な撤退をもたらすでしょうか。また今後、中国市場が外資系企業を引き付けるメリットはどこにあると思いますか。優遇政策を取り消される在中国日系企業は、これからの市場にどのように対応するべきでしょうか。
A: 日系企業の間で、いまだに負担増への抵抗感があるのは事実です。中には、経営判断として撤退を検討する企業もあるかもしれません。ただし各種アンケートでも、多くの企業は中国市場への進出に強い関心を持っており、現時点で中国からの撤退を本格的に検討している企業は少ないと言えます。むしろ労働コストも含めた経済環境全体の変化を受けて、東南アジアや南アジアなどに生産拠点を分散化する動きが強まっています。日系企業を含む外資系企業は、行政運営の透明化、公正な司法の確保など、いままで以上のソフト面の整備を中国側に求めていくでしょう。
3.政策対応
Q:中国政府が迅速に政策に対応できる要因として、参事官は共産党の圧倒的なパワー、少数人による意思決定、健全な財政状態など7つのポイントを挙げられましたが、この中で日本が参考になる点はありますか。
A:もちろん国の仕組みが全く違うので、中国と同じようにはできないことも多いですが、中国の経済政策のスピードや機動性など、参考にできる点はあると思います。