4.中国への理解
Q:日本の人たちはなぜ中国を理解しにくいと思っているのでしょうか。「多くの偏見」とは例えばどんな偏見ですか。ご自身の経験に基づいて、中国を知りたい人やまだ中国を理解していない人にアドバイスしていただけませんでしょうか。
A:日本と中国の仕組みが全く異なるからです。例えば、議会制民主主義、租税法定主義、中央銀行の政府からの独立など、日本人にとって当然と思っている仕組みが中国では違っています。したがって、中国の仕組みをよく知らないと、中国の行動は想像を超えたものに思え、理解が難しいのです。私の本では、こうした日本人にとってわかりにくい点を、日本とも比較しながら平易に説明しました。
「偏見」とは、中国に対して、極端で誤ったイメージを持つ人がいまだに多いことです。失礼かもしれませんが、自由がない、貧困、不潔、いい加減、危険といった、ネガティブなイメージ「だけ」を持つ人がいます。これは、実際の中国を見たことがなく、報道されるネガティブ情報だけを鵜呑みにしているからです。
中国を知らない日本人は、まず中国に来て、「食わず嫌い」をなくすのが一番ではないでしょうか。同様に中国の方にも、まずは日本に来て、誤解をなくして欲しい。今の日本に、中国のテレビに出てくるような「日本鬼子」なんていませんから。
5.中日の経済連携
Q:「中国の経済成長は、日本にとって必要」という点を具体的に説明していただけませんか。GDP総額は世界2位になったが、1人あたりのGDPはまだはるかに低い中国に、日本はどのように対応すべきだと思われますか。
A:中国が、長期的で安定的な経済成長を実現することは、日本経済の成長にも資するという意味です。日中は隣国ですし、経済の相互依存関係は深い。中国の経済成長が不安定になったら、日本経済にも大きなマイナスの影響が生じます。日本としても、中国経済が混乱するような状況は好ましくないのです。
世界経済におけるアジア経済のプレゼンスを考えても、日中両国がともに発展していく形が望ましい。現時点で1人当たりGDPは大きく異なりますが、中国が成長を続ければ、同程度の水準になる日もいつか来るでしょう。そうなって初めて、アジア地域の真の経済連携が実現すると思います。
(注意:以上はあくまで個人的見解であって、柴田参事官所属先である日本大使館、日本政府の公式見解ではありません。)
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2010年12月2日