防衛の重点が南西部に
もう一つの重要な変化は、防衛の重点に歴史的な調整がなされたことである。
日本は長きにわたり、防衛の重点を北部の北海道地域に置き、冷戦時代の旧ソ連及びその後のロシアに対する防備を主としていた。しかし、新大綱は初めて南部地域及び「南西諸島」を防衛の重点に挙げている。
日本政府の言う「西南諸島」とは、日本の九州以南、中国の台湾島以東の島嶼部を指し、そこには中国と領有権を争っている釣魚島も含まれる。今回の新大綱は中国に対する強烈な警戒感も示されており、中国の軍備増強を「地域・国際社会の懸念事項」としている。王泰平・元中国駐大阪総領事は、「調整後の防衛の重点は主に中国に照準を合わせている」と見る。
また、武器輸出三原則の見直しについては、社民党の反対によりしばし棚上げされることになったが、新大綱は依然として日本は相応の措置を検討するとし、将来的な見直しに含みを残した。このほか、民主主義的価値観を共有する米国、韓国、オーストラリアなどとの防衛協力も促進するとしている。