アジアトップレベルのソフトパワー
長期にわたる経済低迷から抜け出せずにいるため、日本社会に普遍的に存在する積極性や向上心はやや弱まり、そのソフトパワーにも影響が及んでいると思われているが、朱教授は「日本の文化パワーの伸びは減速しているものの、全体的なソフトパワーは依然としてアジアトップレベルにある」と指摘する。「文化産業を例に挙げると、主流文化は日本から中国や韓国に流れるという全体的な趨勢はいまだ変わっていない。中国の芸術家は日本で開催される絵画展などに参加していて、依然として周辺地帯にいる。女子十二楽坊や「千手観音」など、一部の文化現象は日本の主流社会に入ったが、それはやはり例外的なものだ」
中国の4大名著「紅楼夢」「西遊記」「三国演義」「水滸伝」は中国では何度もリメイクされているが、どの作品も平凡である。一方、日本では、アニメーターがリメイクした4大名著を題材とした作品が非常に好評だ。タバコを吸うお釈迦様、猿顔のロボット、肩にロケットを担いだ猪八戒などが人気を博し、中国にも紹介されているほどである。
日本の文化産業はすでに成熟しており、デザイン、制作から生産、プロモーション、派生にいたるまで、どの過程もレベルが高い。一方、中国のクリエイティブ産業はまだ影響力を有しておらず、その主な原因は産業チェーンの支えがないことによる。
朱教授によれば、当然、日本の文化産業も難しい問題に直面しているという。「お正月などの祝日、子供たちへのプレゼントを選ぶのは非常に困難である。アニメや漫画、おもちゃの発展はすでに飽和状態にあり、市場も新しい商品を世に送り出すのは簡単なことではない」