いま、これと似たような状況が再び現れている。金融覇権のやり口はやはり2つある。1つは、人民元の切り上げを迫り、中国の輸出業にダメージを与えること。もう1つは、株式市場と不動産市場のバブルを大げさに吹聴し、人民元の自由両替を促すことである。
現在の世界情勢をみると、貿易保護主義が再び台頭し、国家間の争いが絶えなくなっている。金融覇権が市場をあやつり、ゲームのルールがころころと変わっている。市場の制御がきかなくなり、世界の不動産市場バブルが依然として消えていない。
中国の経済基盤はいまなお堅固とはいえず、リスク意識が弱く、人民の生活はまだ苦しく、輸出企業はいまだモデルチェンジを実現していない。こうしたマイナス要因により、人民元の切り上げを加速することは難しく、国がコントロールせずに、ウォール街の操作に任せて自由両替を行うことも不可能である。中国が今回の金融危機の打撃を直接受けなかったのは、為替管理を行っていたおかげであり、さもなければ、想像もつかないほどのひどい打撃を受けていたであろう。
現在の世界の構造やルールは、米国をはじめとする西洋諸国によってつくられ、維持されてきたものであるが、中国というライオンはすでに目覚めており、ジャングルのなかを歩いている。ライオンは、オオカミたちの習性を知りさえすれば、オオカミたちといっしょにやっていくことができるのだ。我々は、オオカミたちの攻撃を受けた日本の成功と失敗を学び、研究することで、これを未然に防ぎ、日本と同じ徹を踏まないようにすることができる。
しかしながら、金融覇権の富の略奪方法は多種多様であり、おおっぴらな方法であれば防ぐこともできるが、知らないうちに富を奪う巧妙なものもあるので注意が必要だ。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2011年1月24日