現地にいる『環球時報』記者によれば、インドの政客とメディアは往々にして、「GDPの増加」、「経済大国ランキング」、「中国を追い抜く」といった話題を好むのだが、庶民の立場からすれば、食料品のインフレ問題の解決こそが当面の急務である。昨年以降、インドのインフレ率は8.5%から10.5%の高い水準に留まり続け、食料品価格のインフレ率も2010年12月の13.55%から2011年1月の15.65%にまで上昇し、中でも野菜の価格は65%も上昇し、玉ねぎの価格はほぼ2倍になった。
中国を越えられるかどうか、専門家の見解は様々
近頃、新興市場経済国が次々とGDP競争に巻き込まれている状況について、中国現代国際関係研究院の経済安全研究センター主任・江涌氏は、『環球日報』の取材に次のように語った。現在の競争の主役がドイツ、日本、米国といった老舗の工業国家ではない理由は何か。GDPが追求するのは経済成長だが、これらの先進国の工業は既に成熟し、経済成長を追及しなくなり、インフレの解決に力を入れているからである。
しかし、将来的にインドが中国を追い抜けるかどうかについては、専門家の見解は様々だ。江涌氏は、次のように見ている。中国は2020年に高齢化社会に突入し、人口配当はもう存在しなくなるが、インドはまだ活力に溢れ、依然として生産年齢人口が多数を占める。また、インドの自主創造能力の強さからも、インドが中国を越える可能性は高いという。
中国現代国際関係研究院の南アジア問題専門家である胡仕勝氏は、インドが2050年以前に中国を越えられるかどうかは、まず、インドのGDPがこのような長期間にわたり高い成長を保てるかどうかによる、と見ている。1980年代から2050年まで、70年間も続く高成長というのは、未だ地球上には出現していない。それ以外にも、インドのGDP成長率が中国を越えることが必要である。何故なら、インドのGDPの基数は依然として中国に劣るのだから、その成長率が今より下がれば永遠に中国には追いつけないのだが、この2つの前提はまだ確実なものとはいえない。胡氏によれば、インドが高成長を持続しようとすれば、知識集約型産業に頼るだけでなく、労働集約型産業も同時に発展させ、就業率を上げて、人口配当の優勢を発揮しなければならない。そうでなければ、人口の多さはインドの発展の足手まといになってしまう。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2011年3月2日