辞任は菅直人政権の「終わりを告げる鐘」
前原外相の辞任が菅政権に及ぼす影響はこの上なく深刻である。もともとよろめいていた政権を維持していくのは難しいだろう。
香港「文匯報」の報道によると、前原誠司という男は「民主党の鷹」の異名を持っており、菅内閣の支持率が一気に下がってからは、「ポスト菅」のトップ候補と言われていた。しかし今、菅首相が舞台から降りる前に、前原外相のほうが先に去ってしまった。党内の人材はますます衰え、野党の攻撃は激化し、政権を握ってから半年、菅政権の命は時間の問題である。
この辞任騒動が起きる前に、菅政権は既に、11年度予算案審議で政権運営が行き詰る、いわゆる「3月危機」に陥っていた。本来、民主党は解散・総選挙を行うことで、菅首相を政権から降ろして新たな首相を選出することができたが、後任候補が居なくなり、その考えは台無しになってしまった。前原外相の辞任によって、民主党の希望は消え、党の大御所だった小沢一郎氏はとっくに党員資格の停止処分を受けており、選挙に出ることさえかなわない。今、総選挙を行っても悲劇が起こる可能性のほうが高いのだ。
日本の政界は狭く、政治家がお互いの足を引っ張り合うのは珍しいことではない。予算案審議を行っている肝心なときに、前原外相の政治献金問題という「汚点」が急に暴かれたことは、この機に乗じて菅直人政権の命もまとめて絶とうと考えている人が確実にいることの証拠である。
前原外相を追い出した後、野党の矛先は早速、菅首相に向けられた。自民党の大物である石破氏は「菅首相はこの事件に対し、任命責任を負わなければいけない。菅政権の寿命は尽きた」と豪語した。政治献金のスキャンダルだけ見れば、前原外相の迅速な辞任は首相を守るためには、賢い決断だったが、長い目で見ると、この辞任事件は菅政権の終焉が近いことを象徴する出来事となった。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2011年3月7日